島々を旅するとき、必ず立ち寄る場所のひとつが本屋。地元出版社が発行している貴重な本たちが並ぶ郷土書コーナーを物色するのは、実に楽しい。
昨年、宮古島を旅したときも、然り。入った本屋は、CDショップと、おもちゃ屋が融合した大型店だった。
で、その本屋の店長がおすすめしてくださったのが、この漫画。著者は、沖縄県那覇市生まれの漫画家、新里堅進(しんざとけんしん)。沖縄県出身者が描く宮古島の歴史漫画≠セった。でも、この時点では、財布の紐を緩めるつもりはなかった。ところが、「旅の人だけでなく、ここ(つまり宮古島)で暮らしている人にもこの本は売れている」、との店長の言葉に好奇心がくすぐられ、購入。中学生の頃、古典文学「源氏物語」を少女漫画で読ませるコミックに出会ったおかげで、国語の古典の授業が好きになった経験も、後押ししたと思う。もしかしたら、この漫画で、もっと歴史に親しみを覚えられるようになるかもしれない、と。
ところで、この紹介文を書き進めると己の勉強不足が露呈するため、一瞬躊躇したのだが、正直に書くことにする。私は、1852年に宮古島でおこった、人頭税廃止の運動に新潟県出身の青年中村十作(なかむらじっさく)≠ェ大きく関与していることを、この漫画で初めて知った。宮古諸島、八重山諸島にとって大きな歴史的節目である人頭廃止運動に、雪国からやって来た若者が関わっていたとは!(ちなみに、新潟県上越市には、中村十作の記念碑があるのだそう。)
本漫画には、「南島探検」の著者、笹森儀助(ささもりぎすけ)や、早稲田大学の創設者、大隈重信(おおくましげのぶ)なども登場する。
そして、いまなお現役で、宮古の人々の暮らしに密接な関わりを持っている漲水御嶽(はりみずうたき)や、平良(ひらら)港なども、劇中に描かれている。さらに、宮古上布や、クイチャーという踊りも重要な要素として登場。
宮古島からの帰路、早速本書を読み始めた。すると、島で出会ったいろんなことの一昔前の姿が漫画を通して垣間見られ、小さな時間旅行をした気分に。
歴史漫画「島燃ゆ」は、宮古島や沖縄の歴史入門書として、また、新手のガイドブックとして、想像力を刺激し、宮古島の旅を充実させる手伝いをしてくれる一冊だと思う。
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