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八重山諸島 西表島 編
 
沖縄・西表炭坑史
ジャングルに眠る過去を読もう
「沖縄・西表炭坑史」 
著:三木健/発行:日本経済評論社/価格2266円

私がこの炭坑の歴史を調べるようになったのは、いまから二〇年以上も前のことになる。調べ始めたころは、これといった資料とてなく、文字どおり坑内の暗闇を手探りでゆくようなものであった。当時はまだ健在であった炭坑関係者をたずね歩いたことが、いまもきのうのように思い出される。思えばあれが調査可能な最後のチャンスであった、とも思う。私がたずね歩いた当時の関係者は、いまはもうこの世にはいない。
                              
〜あとがきより
 
 
 

 とかくそのダイナミックな自然が注目される西表島だが、この島に、かつて幾つもの炭坑があったことをご存知だろうか?そしてその炭坑には、学校や芝居小屋や店があり、独自の紙幣が流通していたとしたら。

 本書は、これまで紹介してきた本に比べると、硬派な本。けれど、西表島ファンならぜひ挑戦していただきたい1冊でもある。

 県外の炭坑と同じく、西表島の炭鉱も過酷な歴史を持っている。でも、そこにとどまらず、少し見方を変えると、また違った意味合いが見えてくるのだ。

 本書の冒頭に、西表に幾つもの炭坑ができる以前の話しとして、薩摩との関わりが登場する。鹿児島県を旅行したことがある方のなかには、観光バスなどで、桜島と錦江湾を借景とする『仙巌園(せんがんえん)』(愛称、磯庭園)を散策したことがある人もいらっしゃることだろう。そして、庭園に併設している『尚古集成館』という資料館を見学した方も多いのではないだろうか。かつてこの一帯は、島津藩28代目の島津斉彬が製鉄、造船、紡績などを行う工場地帯だった。現存の資料館本館(国指定重要文化財)は、機械工場跡。このように近代工業に力を入れていた薩摩だからこそ、燃料である石炭に注目していた次第。で、結果として、石炭を探していた薩摩と、石炭が眠る西表島が結びついてくるというわけ。しかも、薩摩と西表島が繋がるきっかけを作った石垣島の人は、なんと波照間島へ流刑になったりもするのだ。

 ペリー、戦争、国防。様々な外的キーワードが登場しながら、西表炭坑史は展開する。

 過去があるから、今がある。だとしたら、やっぱり歴史は大切。

 本書を読めば、西表島の炭坑史が、世界の歴史や数々の戦争などと連動していることがよく分かる。昔から、西表は決して未踏の孤島などではなく、海を媒介に、人間の世界と密に繋がっていた側面があることを教えてくれる、一冊だ。

(文:はるか)

 

*西表島の炭坑跡を訪ねるツアー
浦内川観光の「マングローブの河 巨木を訪う」 : http://www.urauchigawa.com/
平田観光の「船浮」と「内離島」探検コース : http://www.yaecoco.net/osusume_course/list/okuiriomote/ishigaki/index.html
「美ら島物語」西表島情報 : http://www.churashima.net/shima/iriomote/index.php3
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