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たとえば布団のなかで、ひとり静かに読みたい、沖縄が香る版画絵本&詩集
 
東京に暮らしたウチナーンチュのこころの声を
 
現代詩文庫1029 山之口貘詩集


「現代詩文庫1029 山之口貘詩集」
著者:山之口貘(やまのくちばく)/発行:思潮社/価格:1165円+税


ぼくは常々、詩を求めるこころは、バランスを求めるこころであるとおもっているが、そのこころは、かゆければ掻きたくなり、いたければさすりたくなるこころのようなものだからである。
〜P116より抜粋〜

※クリックすると拡大します
 
 

 巻末の年譜をみると、明治36年(1903年)、山之口貘さんは、沖縄本島那覇市で生まれています。家は、300年も続く名家のひとつだったのだそう。20歳で上京。この日から16年間、詩を書きながら、ほとんど畳みの上で寝たことがないという、放浪生活を続けたのだそうです。でも、なぜ、名家の坊ちゃんが放浪生活を?この辺りも、本書を読み終わる頃には見えてくることでしょう。

 ところで、本書と出会ったのは、沖縄本島の県庁前にある、「パレットくもじ」7Fにある書店。私は詩が、わりと好き。なので、沖縄にゆかりのある方ならば読んでみよう、と軽い気持ちで買いました。

 ドキリとしたのは、13ページにある、〈いなかはどこだと/おともだちからきかれて /ミミコは返事にこまったと言うのだ〉から始まる、「桃の花」という詩。

 私は、東京都の大学病院で生まれ、大分県で育ち、18からは東京で暮らし、近頃、沖縄県の石垣島へ引っ越しを。そして母は北九州出身で、父は大分出身。そして本籍地は、一度も住んだことがない他府県。で、どうも、全身がバラバラな感じがしてしようがありません。山之口貘さんが抱えていたこととはおよそ次元が違うのかもしれないけれども、だからかな、「桃の花」に魅かれたのは。

 けれど、両親の出身地と自身の出身地が異なる方って、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 あなたにとって、ふるさと、はどこですか?

現代詩文庫1029 山之口貘詩集 裏表紙
シンプルな装丁の詩集



山之口獏 氏

 この詩集にあるのは、ぱぁっと明るい、例えば、読むと気持ちが涼やかになる、そんな類の詩ではありません。でも詩に、ネチネチっとした暗さはありません。どこか優しさがあり、そこに沖縄を感じます。

 眉間にシワを寄せて読むのではなく、肩の力を抜き、静かに、貘さんが生きた時代の沖縄に思いをめぐらせたりもしながら、読んでみませんか?

 それから、最後にもうひとつ抜粋を。これは詩集の後半に入っている、「自作詩鑑賞」という貘さんが書いたエッセイの一部。

 ぼくの場合は、この詩の場合だけでなく、どの詩の場合でも、かなりの原稿紙を屑にして来た。と言って、なにも、ぼくは、そうゆうことを鼻にかけているのではないが、正直のところ、詩一篇ごとに、ぼくは、平均して、二百枚から三百枚の原稿紙を屑にして来たのである。おもえば、詩を書くようになってから、すでに、三十年余にもなるのであるが、ぼくは、いまだに、二百枚三百枚と推敲しなくては一篇の詩も書くことができないのだ。

〜P113より抜粋〜

 

 夜、ひとり部屋で、シンプルな装丁のこの詩集を手にしてみては、いかがでしょうか。

(文・はるか)


                                            (2006.2月掲載)



*大宜味村喜如嘉にある芭蕉布会館には、山之口貘の「芭蕉布」の碑建立(平成10年)されています。
http://www.vill.ogimi.okinawa.jp/miryoku/bashohu3.html
*「パレットくもじ」7階にある書店は、郷土書コーナーが充実しています。興味のある方は、立ち寄ってみては? 
http://www.palette-kumoji.co.jp/index.html


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