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命を懸けて、奄美を描いた日本画家を、あなたはしっていますか?
 奄美大島の亜熱帯を描いた日本画家
 
日本のゴーギャン 田中一村伝
日本のゴーギャン 田中一村伝
編:南日本新聞社/発行:小学館文庫/価格:600円+税
 

「絵かきは、わがまま勝手に描くところに、絵かきの値打ちがあるので、もしお客様の鼻息をうかがって描くようになったときは、それは生活の為の奴隷に転落したものと信じます。勝手気ままに描いたものが、偶然にも見る人の気持ちと一致することも稀にはある。それでよろしいかと思います。その為に絵かきが生活に窮したとしても致し方ないことでしょう」 
〜P69より〜

 これは、日本画家の田中一村(たなかいっそん)さんが、千葉時代に記したある手紙のくだり。どうです? なかなか近づき難そうなオーラを醸し出している文面だとは、思われませんか。


 だから、「田中一村さんと友達になりたい?」と訊かれたら、ちょっと考えこんでしまいます。そうしてしばらく考えてから、「晩年の田中一村さんとなら、ぜひ友人になりたいです」と答えると思うのです。だって、なにせ若い頃の田中一村さんは、言葉を選んで話をしないと、ひょんなことから、猛烈に怒り出しそうだから。

 

 本書の巻末には年表がついています。それを見ると、一村さんは明治41年に、栃木県で生まれています。父は仏像彫刻家。4歳で東京の麹町に移住。以後25年間を東京で過ごします。大正15年には、東京美術学校(現、東京芸大)に入学。同期生には東山魁夷らがいました。しかし一村さんは、結核を再発。わずか3ヶ月で中退します。
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本書では、一村さんが奄美大島でえがいたこれらの絵を観ることができます。
見開き 1ページ目   さて、途中の経緯は大幅に省略して、ときは昭和33年。一村さんは50歳にして、千葉から奄美大島へ移り住みます。そうしてほぼ島を離れることなく、昭和52年、69歳で、奄美でその生涯を終えました。
 

 一村さんの、奄美大島での暮らしはどのようなものだったのでしょうか? 本書によれば、トタンぶきで、6畳と4畳半に台所つきで、家賃月4000円ていどの家を借り、おおらかな大屋さんの好意のもと、ここをアトリエに改造したのだとか。板壁をくりぬき採光のためのガラス窓を造ったりと、この改造はすべて自分で行ったそう。器用な人、だったのでしょうね。そして改造が終わると、今度は庭先に、5坪ほどの菜園を造りあげました。こうして自分の食料は、自分で確保したのです。


「(一村は)昼食時間になると、生野菜をいっぱい盛り込んだ麦飯の大きな弁当を広げてたべていた。」 (P155)


菜食中心だったのですね、一村さんは。
 一村さんは、最初から最後まで、お金に縁のない人でした。生涯最後を飾る立派な絵を描こう、と決意して渡った奄美での生活でも然り。暮らしは赤貧を極め、絵を描きたくとも、お金を稼がなくては、生きてはいけないところまで追い詰められていました。そんな一村さんが仕事として選んだのが、大島紬の糸を筆で色づけする作業。一村さん54歳のときのこと。


「私は紬工場に染織工として働いています。有数の熟練工として日給四百五十円也。まことに零細ですが、それでも昭和四十二年の夏まで(五年間)働けば、三年間の生活費と絵の具代が捻出できると思われます。そして私の絵かきとしての最後を飾る立派な絵をかきたいと考えています」 
(P154・昭和37年に一村が記したはがきより)


 
 
 ちなみに昭和39年が、東京オリンピックの年。
 紬工場を辞めたのは、昭和42年の夏。ここから一村さんは、絵の世界に没頭するのです。
  62歳で、再び紬の仕事を。そして64歳で、再び絵三昧の生活に。


 晩年の一村さんの生き方を読んでいると、どうしても、心がうるうるしてきます。
 だって、あまりにも一村さんは、一生懸命で、不器用で、真面目だから。
 なお一村さんは、一度も個展を開いたことがなく、結婚することもありませんでした。  


 そして、この本の巻頭に掲載されている一村さんの絵をみるとき、こう思うのです。奄美ならではの沖縄にはない、鬱蒼とした重厚な雰囲気のなか風景のなかの、パッと飛び立ちそうなアカショウビンや、潮風にざわつく植物をみていると、神経質とかそうゆうものではなくて、自然を純粋に愛する一村さんの、優しさ、が感じられ、とても優しい気持ちになれるのです。
宮古島の海岸線
 皆さんは、一村さんが奄美で暮らした昭和33年〜昭和52年を、どこで暮らしていましたか?生まれていましたか? 

 次回は、一村さんの絵を、たっぷりと観ることができる作品集を、紹介いたします。
(文:はるか)
(2006.5月掲載)


奄美大島情報 : http://www.churashima.net/shima/amami/index.html

田中一村記念美術館 : http://www.amamipark.com/isson/isson.html


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一村氏 拡大写真

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