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  ポケットに沖縄を!
 
オキナワなんでも事典 池澤夏樹編

てのひらサイズの、すっごい事典

「オキナワなんでも事典」

 

編:池澤夏樹/発行:新潮社/価格:743円+税
 

 『オキナワなんでも事典』は事典の形をしたエッセイ集です。
沖縄の文化や自然、暮らしに関わる項目が五十音順に並んでいます。沖縄に関わる、気になる言葉があったら、事典を引くように探してみてください。探したいものの名前がわからなければ、末尾の分野別索引から見つけられるかもしれません。
            (〜P32より〜)  

 沖縄を愛してやまないヤマトンチュと、沖縄で生きるウチナーンチュの、総勢102名の執筆者が、ひとつずつのキーワードに対するエッセイを寄せている、とっても贅沢な1冊。とっても贅沢と書いても、ちっとも大げさではない、と思える1冊なのです。 たとえば、「ヌチドゥタカラ」という言葉の意味を知りたいな〜、と思ったとしましょう。で、調べる。ふむふむ。ちょっと難しいな〜とか思いながら、しがみつくようにそのエッセイを読むわけです。知りたいことを、知るために。そうしたら文末に、大城立裕、と署名が。

 大城立裕さんと言えば、「ノロエステ鉄道」という本の著者。沖縄生まれ。『カクテル・パーティー』で芥川賞を受賞した作家。ここで、大城立裕(おおしろたつひろ)さんっていったいどんな人なのかしら? 、と思うのが自然の流れ。

 それでまた、調べてみるのです。すると107ページに、大城立裕、という見出しを発見。で、また、読む。そうして読み進むうちに、この文章を書いた人はきっと、沖縄を敬愛しているんだろうな〜と感じ、文末に目をやると、池澤夏樹、と。

 で、執筆者群を見ると、「日本海のイカ」という本を書いた足立倫行(あだちのりゆき)さん、元沖縄県知事大田昌秀さん、JTAの機内誌「コーラルウエー」にも愛情たっぷりの原稿を寄せている大竹昭子さん、「琉球布紀行」という美しい文庫本をだされている澤地久枝さん、筑紫哲也さん、鶴見良行さん、名嘉睦稔さん、藤木勇人さん、水木しげるさん(!)、・・・あ〜、キリがない、とにかく魅力的な大人たちの名前がズラリズラリ。

 







 というわけで事典でありながら、体温があり、ときに読み手の心にスマッシュヒットを決めることがあるのです。上っ面を撫でただけ、では決してないのです。

 ところで、本書は「とんぼの本シリーズ」のひとつ「沖縄いろいろ事典」(発行:新潮社)からCD−ROM、そしてWEBと形を変え、ついに文庫化したという、珍しい履歴を持つ本。WEB版は下記にアドレスを記載しておきましたので、ぜひ、のぞいてみてください。


  そして、ここで最後にもうふたつ。本書の終わりに掲載されている、編者の池澤夏樹さんが記した「文庫版『オキナワなんでも事典』刊行までの長い経緯」からの抜粋文の紹介を。



  池澤夏樹

 それはともかく、沖縄ブームは一枚岩のように固まって見えた日本文化を相対化し活性化するのに力があった。文化とは異質のものの出会いであり、その衝突から新しいものが生まれる。それが文化というものの力だ。(P421)

 これだけ展開があったのは、もちろん、沖縄に関する簡便で正確な知識が欲しいという要求が強かったからだ。沖縄文化の強烈な魅力を無視して今の日本を理解することはできない。

 その一方で、このようにヤマトンチュの口に合うように細切れにされ調理された沖縄は本物ではないという異論があることも心得ておいて頂きたい。本当の沖縄はもっと図太く、したたかで、骨が硬いはずのものだった。お手軽な話題としてヤマトに消費されてたまるかという思いが沖縄の側にはある。(P423)

 本書を素敵だな、と思うのは、決してこの本がヤマトンチュから見た沖縄ではなく、ウチナーンチュ自身が記した沖縄がいっぱいということ。だから、安心して読めるのです。

 沖縄を旅する際にこの本をポケットに忍ばせておき、?、と思ったら、食堂に駆け込みかき氷でも食べながらじっくり読み謎をときつつ旅すれば、沖縄がもっと楽しくなるかも、と思うのです。ぜひぜひ、お手元に1冊どうぞ。                                                                

(文・はるか)

◆池澤夏樹公式ホームページ:http://www.impala.jp/

◆オキナワカルチャーアーカイブ:
    http://www.culture-archive.city.naha.okinawa.jp/index_cate.html

◆名嘉睦稔さんの版画絵本:http://www.churashima.net/books/200602/02.html
◆藤木勇人さんの連載エッセイ:http://www.churashima.net/fujiki/index.html

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