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  ちょっと不思議な沖縄ワールド
 
「神に追われて」  谷川健一

あなたは神を信じますか?

神に追われて

 

編者:谷川健一/発行:新潮社/価格: 1500円+税
私が南島通いをしてユタとかカンカカリヤと呼ばれる南島の巫女の入信のいきさつに並々ならぬ興味をおぼえたのは、人間的な烈しい苦悩を通して、巫女たちの精神が形成されていることを知ってからのことである。彼女らの受けた試練は一歩まちがえると、死か狂気の道をたどられねばならないという恐怖を伴うものであった。 (〜P17より抜粋〜)

 夜は怖い。


 おばけは怖い。


 神はおそろしい。


  島は、ときに人間に、闇の深さを思い知らせてもくれる。 そしてこんな風に、夜、畏怖を感じさせる島ほど、昼、どこかセクシーで魅力的だったり。



 本書の舞台は宮古島。著者が、根間カナという女性から聞いた話をもとに記したもの、なのだそう。・・・カナのもとには、悩みを抱えた人々がやってくる。カナは、お金をとって、そうして神がかりになって、神の言葉を依頼客に伝える。依頼客は、ときに涙を流し、喜び帰っていく。カナは、そうゆう人。


 《灯台の光の帯に文投げて届けと祈り今宵君待つ》 (P24より抜粋)

 1966年半ば。カナが、海の向こうにある池間島で暮らす恋人を思う場面から始まる。この時のカナはまだ普通の人。

  ただ
カナには、幼少の頃から《カンカカリヤ》に見られる特徴が現れていた。カンカカリヤとは、《ユタ、もしくは神が懸った人》のこと。カナは、幼い時分に両親により、神への「延期ねがい」の儀式を行っている。つまり、《神に線香を供えて、神の道に入ることを少し待ってほしいとお願いを立てる》ことを行ったのだ。


 
やがてカナは、高校を卒業。そして先の恋人と結婚。そうして二十歳で長女を出産。一家は、カナは、幸せに包まれた。


 しかし、神のほうはカナをわすれていなかった。 (P27より抜粋)


 まもなく、カナの夫は会社をやめ、花札におぼれ、島をでて、音信不通に。カナは、苦しむ。そうゆうなかで《ウーキゴウ》、・・・カナは《いずれ神の道に入ることを神に約束する》。


 でも、ことは簡単に収束しない。水が飲めない、食事もできない、夜は眠れぬ、という日々が、カナに訪れるのだ。あまりに苦しさから死のうとしても、神に妨げられ死ねない、そんな風。飲まず食わずで、はだけたシャツから痩せ細った鎖骨をのぞかせ、眼ばかりぎらつかせ、炎天下の白く乾き切った道を、ふらふらと歩くカナ。人々はカナを、「狂り者(ふりむん)が通る」とあざけり笑った。



 カナはとつぜん、体がふるえ出し、神が乗ってきた。カナに神の新しい啓示が訪れた。「井戸は天と地の底を行き来する神さまの通路なのに、それを塞ぐとは何事か。神が息をすることのできないようにするつもりか。(後略)」
                                      (P48より抜粋)



  これは、ふらふらと歩いていたカナが、ゴミ捨て場と化していた井戸の前を通ったときに、ぴたりと立ち止まりしゃべった言葉。

  
















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  一旦、本から離れるけれど、我が家の近所に、最近、鉄筋コンクリートの都会風な小さなアパートが建った。
 外壁はクリーム色に塗られ、広々とした窓がはめられ、お洒落。駐車スペースもたっぷりととられていて、暮らしやすそうな感じ。が、その近代的な雰囲気のアパートの、アスファルトで固められた駐車場に、古井戸が、ひとつ残されている。
 石垣島では、道路の真ん中、歩道、駐車場のただなかに、ポツリと井戸が残っているのは、わりとみかける光景なのだ。


 さて、話を本に戻そう。




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 とにもかくにも、カナはこんな具合に辛く苦しい《神ダーリ(巫女病)》を味わったのち、《神の道開け》をすることに。


 神ダーリから抜け出すには自分の霊的な先祖神であるツヅ神を発見し、その指導を受けねばならない。ツヅは頭のてっぺんを意味する。神ダーリの女があちこちのウタキを拝んであるき、あるウタキにきたとき、頭のてっぺんにひびく神を感応する。それが自分の守護神となるのである。ツヅは沖縄本島ではチヂという。将来ユタになろうとするもので、チヂを発見できずに死んでしまった者のことを、「チヂンブリした」すなわち、チヂによって溺死させられた、というとW・P・リーブラは述べている。これは神の道を開けようとしているとき、チヂ(ツヅ)の発見がいかに重要かを物語る例である。その発見の道を迷わせるのがマジムンと呼ばれる悪霊、または邪神である。マジムンは妖怪とか化物のたぐいであるが、若死にしたり、不慮の死をとげたりして、死後カミとなり得ず、一族の墓にも入れてもらえずさまよえる霊がマジムンになることが多い。神ダーリの状態はツヅの神と悪霊(マジムン)のすさまじい戦場である。 (P19より抜粋)


 本書は、楽しく、スラスラと読める本、ではありません。
でも、もしも南の島を旅したときに、なにかの存在を感じたのなら、この本を手にとってみてはいかがでしょうか?
  そうそう、それから、人間世界のこと。ときにはマガイモノのユタも混じっているらしく、高額なお金を騙し取られたと裁判になったりもしている模様。ちなみに先日、沖縄本島で乗ったタクシーの運転手さんは、奥さんのユタ通いが原因で離婚した、と語っていました。で、いまは3匹のかわいい猫と暮らしている、とも。

 反面、奄美大島で、私は、それは優しい雰囲気のそうゆう人に出会ったことも。

 人智のおよばぬ世界があることも、地球の魅力のひとつ、かも・・・。

 


著者の谷川健一氏は「日本地名研究所」の所長さんです。「日本地名研究所」のHP
     http://www8.ocn.ne.jp/~timeiken/index.html

◆「美ら島物語」の祭り情報ページ。島の祭りで神様に出会えるかも?!
    http://www.churashima.net/festival/index01.html

◆沖縄本島の、神様を感じられるかもしれない場所はこちら。
    http://www.churashima.net/shima/okinawa/isan/20010301/05.html

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