地球は、総面積の約70%が、海。
本書は、その海を舞台にした、ちょっと風変わりな、“海の辞典”。
著者は、海洋写真家の中村庸夫(なかむらつねお)氏。
本のなかは、
〈地球は海の星〉、
〈海流・潮流・潮〉、
〈海のいろいろな波〉、
〈海の表情〉、
〈海岸地形・浜と磯〉、
〈南の海・氷の海〉
の6つに分かれています。
では、さっそく〈海のいろいろな波〉という章を開きましょう!
すると、激浪(げきろう)、うねり、寄せ波、砕け波、白波、波座(なぐら)、三角波、磯波、崩れ波、汽船波、八字波、波の皺(しわ)と、いろいろな波の名が登場。そして、これらのほとんどに、実際の波の写真が添えられています。だから写真を見て、「あぁ、これが頻波(しきなみ)かぁ〜。これだったら見たことがあるなぁ〜。」と、目で確認できるのです。
次に、〈海流・潮流・潮〉の最初のページを開きましょう。
すると、見開きの写真の片隅に中村さんの言葉が添えられています。
海流は海の中の川
潮目は岸にあたる所だが
刻々と位置を変える
世界の海は一つにつながっているが
そう簡単に均一に交わらない
写真は、メキシコ湾流と沿岸水との潮目(フロリダ半島沖)。広大な海が、くっきり、かつダイナミックに、2色に塗り分けられている写真です。小指の爪
より小さなヨットの姿も見えます。
もちろん、我らが沖縄の海の写真も、点数こそ多くはありませんが、登場。宮古島の八重干瀬(やえびし)や石垣島の白保など。
でも、同時に、カナダや北海道などの流氷の海も、この本には登場するのです。
地球の海は、どこも結局はつながっています。流氷の海も、石垣島の海も、東京湾も、日本海も、オーストラリアの海も、ノルウェーの海も、つながっています。
でも、その表情のなんと異なることか!
たしかに、石垣島の海ひとつとっても、“南の海”という言葉で片付けられないほどに、表情は様々。変幻自在。たけり狂うこともあるし、夕焼け色に染まることもある・・・。
本書は、なかなかどうして地味な本だとは思います。でも、たとえば布団のなかで眺めたり、また一人静かに、誰にもじゃまされることのないトイレで
コツコツと読み進めると、じつに、じつに、海が、より表情豊かになるのです。
あなたは、海が好きですか? もしもあなたが、飽くことなく海を眺められる性質ならば、本書はきっと、あなたのハートをつかむはず。
最後に、もうひとつ。この本は、じわじわっと旅心をくすぐります。それを覚悟して、お手にとられてください。
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