わたしは映画と同じような、キビ畑の中にいたことがある。
大学1年生のとき、はじめて沖縄へ旅をした。中学生の頃に、八重山諸島が舞台となった小説を読んで以来、訪れてみたいと想いをつのらせていた。そして憧れの地で、大きな出会いに恵まれた。
その日、西表島は、朝から小雨がじっとりと降り続いていた。レインコートをきて、道路脇をたどって散歩していた時のことである。横に軽トラックが停まり、窓からおじさんが顔をだした。
「なにをしているか。そこまで乗っていかないか」
好意に甘えて、泊まっていた民宿まで乗せていってもらうことにした。世間話をしていたら、あっという間に目的地に着いた。お礼を言って車を降りようとすると、おじさんが言った。
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