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小さな箱の中で、宮古島の砂と貝殻の中で、今朝もカサコソと小さな体を動かしているヤドカリ君。「おはよう!」と声をかけるのもいつしか習慣になった。
去る、10月に家族5人で、沖縄・宮古島に旅行に出かけた。次女の高校入試を終え、本来なら春か夏と考えたが、今年度から二学期制に伴う秋休みに注目、お得なチケットを購入できた。本島は大型台風のパレ−ド、私達は見事にその台風と交差するように、晴れ渡った離島に到着することが出来た。
我が家は主人と私、長女21才、次女16才、そして、歳の離れた長男7才である。長男が生まれて初めての5人旅行でもあった。長女、次女の年齢を考えても、もしかすると、この家族旅行、最初で最後になるかも…と思うところもあり、思う存分に楽しもうと思った。
空は雲一つなく、海は碧。白浜はキラキラ輝くようだ。旅行誌を開くと見る事のできる景色の中に居るのだ。しばし、感動。人は誰もいないビ−チだった。何より贅沢な時間と場所だ。早速、海に飛び込む主人と長男、その後ろを女チ−ムがゆっくりと続く。 |
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いつのまにか、撮影係となった私は家族それぞれを被写体にしてビデオのレンズを覗き観察。主人は波間に浮いている。至福だろう…。湘南あたりの海ではポッカリ浮いていようもんなら、すぐ様ライフセ−バ−のお出まし!ここなら大丈夫、きっと、彼は、ウヒヒヒってな気持ちだろう。長女は砂浜をのんびりゆっくり貝を拾いながら歩いている。大きくなったもんだ!りっぱになったもんだ!私より、はるかにセクシ−だもの。次女、あれ?歳より幼い(いや、かわいい?)彼女は覚えたての化粧もバッチリだったのに、顔はグシャグシャ、波でバシャバシャ、おまけに顔まで洗っちゃってる。長男は海が怖かった。その彼が雄雄しく逞しく波の方に向かってる。二本の足でぐっと踏ん張り仁王立ち。波が引いていく感触が面白いらしく夢中。私の元に来て「僕ね、海が好きになった」と。
海の方へまた戻っていく。 |
ありがとう。
感謝の言葉が心に浮かんだ。私は再婚だ。上の二人の娘を連れて主人と一緒になった。長男を産んで5人になった家族。長女のひたむきな優しさに、次女の前向きな勇気に、長男の素直な心に、そして、主人の尊い愛に…ありがとう。涙がたっぷり流れた。
| ふと、声がした。何匹かのヤドカリをみんなで見つけたらしい。一晩はホテルで過ごしたがあくる日、伊良部島で放した。三日後、帰宅して荷物整理を終えようとした頃、思い出にと持ち帰った宮古島の砂と貝殻を入れたビニ−ル袋の中からカサコソ…家族がそれぞれ目を合わせ、「まさか?」「フッ(笑)」ヤドカリ君が唯一匹だけ居たのだ。関東では可哀想だと言って放してやったヤドカリ達をよそに、貝に入ったままじっと飛行機に乗り我が家に来たヤドカリ君。あの海であの時にあの幸せを忘れない為にも大事に育てよう。小さな箱の中に沖縄の大きく青い空と海と風がたっぷり詰まっている。今でも、そのさざなみが聞こえてくるように感じる。 |
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