8年前に初めて沖縄の風を仰いでから、完全に慢性沖縄病にかかってしまった私。しかし、これまで本島は何度も訪れていたのだが、離島へは訪れる機会がなかった。
それがやっとのことで、そのチャンスがやってきた。でも、一緒に行く予定だった夫は行けなくなり、沖縄好きの母も都合が合わず、たまたま空いていた父が行くことになってしまった、のである。
父は、生まれも育ちもど田舎の茨城県。温泉旅行をこよなく愛し、出かける時は必ずガイドブックをくまなく読むという心配性。そして、異常なまでのせっかちときている。やっとの思いの夢の離島旅に、そんな父が一緒で大丈夫なのだろうか?
その舞台は、海の美しさでも離島一と言われる波照間島。石垣島から船に乗り、青く飲み込まれそうな海と並走していくと、どんどん緑の大地が迫りくる。
「波照間島だ。」
私はなぜだかわからず、涙が次から次へと溢れ出てきて、
まるで心臓が鳥肌を立てているようだった。
しかし、父は…。
「何かなんにもないっぺよ。何すんだ〜」
ときた。とりあえず私は、聞かなかったことにする。
気を取り直して、
「そういえば、ちゃんと水着持ってきた?」
「何でだ!俺は焼けるのが嫌なんだ!」
「・・・。」
この人は、なぜ今波照間島にいるのだろう。
まあいい。父はいないことにして、早速私は、どこまでも透き通るニシ浜の海に浮かんだ。この、海と空の境界線がなくなる瞬間が、たまらなく好きだ。
シュノーケルをして、魚たちと本気で追いかけっこしていると、9歳の息子がもう夢中にならないわけがなかった。 |