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第2回カーチーベー

島では一年中いろんな季節風が吹いています。その風を肌で感じ、寒暖はもちろん、湿気具合や太陽の光との関係までを体得できた人は島という生き物と一体となった、自然人といってもけっして言い過ぎではないでしょう。

最近はそこまで鋭い感覚を持ち合わせた人はだいぶ減ってしまったのですが、Tシャツのデザインで一躍有名になった海人(ウミンチュ)といわれる漁師たちにとっては、どんな時代がこようとも必要不可欠な当たり前の能力で、今風だとサーファーやヨットマンと共に体力だけではなく季節風と如何に上手く付き合えるかがそのまま実力ということにもなるわけです。しかし、そんな風と戦う彼らがときに戦士の休息のように心地よく迎えいれる風もあります。

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その風の名前は『カーチーべー』。沖縄の方言で夏至のことを『カーチー』そして『ベー』は南風の『フェー』が変化したもの。この『カーチーべー』はその名前の怪しさとは似つかわしくないほどに、体感する心地よさは単純なことばでは表現できません。
真南からまったく湿気を含まない海で冷やされた穏やかな風で、この風を体で受けるとまるでサラサラパウダーでも吹き付けられたかのような気持ちよさ、そしてそのゆったり感から風の漂い具合が目に見えるほどなのです。

そんな風を海を真正面に白い砂の浜辺に押し寄せる木々の影にすわりに全身に浴びてごらんなさい、その瞬間に精神面は気力が削がれ何もしたくない駄目人間なってしまうのです。でも普段頑張りすぎて麻痺している方は、逆にカーチーベーが体全身に染み自分の無気力を味わった瞬間に生きている喜びを味わえるはず。

この季節風が吹く時期は今年は6月の下旬あたりで長くても2週間、さらに真南から吹くといえば、ご存知の通り沖縄本島だと南北に長く延びる島ですからその風を海を真正面に浜辺に座って体全体で受けることのできる場所は限られてくるのです。

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私ももう何年も出会ってないのですが、以前運よくその風と出迎えたのは玉城村にある海に向け真南に窓を開け、クーラーすらもない、いやクーラーも要らない小さな喫茶店『浜辺の茶屋』でした。さぁ今年は何人の運のいい旅人がその風と出会うことができるのでしょうか。もしかしたら宮本亜門さんもその風にあてられて、あそこに棲むことを決めたんじゃないかな〜。

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美ら島物語藤木勇人の『うちなー島旅見聞録』
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