沖縄の暑い夏の到来です。といっても以前から話しているとおり、気温が30℃ほどになると東京のほうが沖縄よりも暑いわけよ。沖縄では日差しが眩しいことを方言で『ミーチラサン』というんだけど、直訳すると「目がくらみます」ということになるのかねぇ。でもそんな中でも影に入ると、海水に冷やされた風が季節風で吹いてくるのだから、涼しいわけ。
そんな夏の気候とあわせてこの時期の風物詩、といえばやはり朝からけたたましく鳴き、暑さをあおるセミ。昔は木の根元からセミがしがみついていて大合唱というのもあったけど、最近はさすがにそんな姿は見うけなくなったねぇ。今でも離島の山に行けばまだ見られるのかなぁ。
ところで、あのタレントの早坂好恵ちゃんが一昔ほど前に「沖縄の人はセミを食べる」といって話題になって、あれ以来世間では沖縄の人が当たり前にセミを採って食べると勘違いされている傾向にあるんだけど、あの話は少し補足が必要だと思うわけよ。
それはどうやってセミを採り、どう料理し、セミの何処を食べるかという話なわけ。どうもセミを食べると聞くと丸ごと口に入れるというイメージらしいんだよねぇ。
だけど実はそうではなくて、まずは僕らの場合、ハンガーなどの針金と輪ゴムでゴム管を作り小石を弾に木に止まるセミを打ち落とす。当たり前に当たったセミは潰れているんだけどそのセミを集めて、新聞紙と一緒にカンカンで焼くわけ。そして、できたのが丸焦げのセミさぁねぇ。それで、その羽の根元、甲羅の部分を割ると、そこから両方の羽をつなぐ小さな筋肉が出てくるから、それをつまみ出して食べるわけさぁ。
けっして丸こげ全体を食べるわけではないわけよ。でも、例外もあったねぇ。
うちの同級生だけど、その男は宮古の多良間島の出身で、たまたま一緒に酒を飲んでいてセミを食べる話になったとき、沖縄のセミの食べ方をちゃんと全国に知らしめるべきだと俺が主張して、そのレシピの話をしたらその男は「自分は生でセミをたべた」というわけ。
ホントかよと思って話を聞けば小学校時分でも多良間島ではランプ生活だったとかで、決して豊かではない生活の中、蛋白源補給のために、セミの羽化の時の幼虫から出てきたばかりの白い成虫を採って食べていたというわけ。その話を聞いて、自分たちの遊びのセミ食いと、生きると言うことと密接なセミを食べる話にあまりに感動して、一度多良間島まで行って皆でセミを食べるツアーをしようという話になったんだけど。
どちらにしても、こんな話をすると沖縄の人の誰もがセミを食べる経験があるように聞こえますが、実はそんなに多くないということだけは覚えておいてください。
うちなー噺家 藤木勇人
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