沖縄の人は集合時間の約束をしても、なかなか時間道理には集まってこないし、物事も予定通りにスタートしないわけよ。それを沖縄では当たり前に『沖縄タイム』というわけ。ところが、時間に遅れるのは沖縄の人だけかと思っていたら、九州あたりでも時間に遅れるらしくて、博多では『博多時間』、宮崎では『宮崎時間』、大分では『大分時間』それぞれにちゃんと地名がついた名前があるわけよねぇ。
ただ沖縄が違っているのは戦後のアメリカの影響を受けて、『沖縄時間じゃなくて老若男女が『沖縄タイム』というところさぁ。これだけは沖縄県民138万人、誰一人として『沖縄時間』という人はいないと確信を持って言えるわけよ。
ところで、遅れる度合いの話だけど九州あたりは、時間に遅れるといっても、ちゃんと時間を守る乗り物があるんだよねぇ。沖縄は長い間、時間を守る乗り物がなかったわけ。島は車社会、公共の乗り物といえば以前は唯一バスとタクシーだけだったわけさぁ。
ところがそのバスがまた時間がまちまちなわけよねぇ。あと海と空に船と飛行機というものがあって、やはりどちらも出発地と到着地ははっきりしてるけど、出発と到着に関しては気象や前後便の関係があって、きっかり時間どおりじゃないわけさぁねぇ。
要するに沖縄には時間どおりに運行する乗り物はなくて、アバウトでバスだと何分に1本とか言われたりするけど、これが例えば15分に一本といいつつ、時には30分待って二本連なってくるということもあるわけ。
それに意外と大事なことは、バスを利用するにあたって降りる人がいなければバス停をバスが通過したりするので、目当ての路線バスが来たら「私は乗るよ」という意思表示のために、手を上げたりしないと乗り損ねることもあるわけさぁ。
だから沖縄ではまことしやかに囁かれたのが、バス利用初心者へのアドバイスとして「手を上げないと止まらないバス、目が合っただけで止まるタクシー」という話だったわけさぁ。
だけど、そんな沖縄にも平成15年8月に、時間を守るモノレールという乗り物がやってきた。スタートは那覇空港で首里までの15区間を27分で走るんだけど、ネタになる!と、取材のつもりで開通当時那覇空港から乗るためにホームに立ったら、実は当初ホームに時刻表が無かったんだよねぇ。
思わず駅員に「モノレールは何時来るんですか?」と聞いたら返ってきた返事が、「大丈夫ですよ、よく来ますから」だったんだよねぇ。あの頃は「なんかそれは?」と思ったけど、時刻表がホームに設置された今は、やはりあの駅員のせりふのほうが沖縄には合っているような気がして、なにかあの言葉が恋しい今日この頃なわけよ。
うちなー噺家 藤木勇人
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