美ら島物語
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第30回新潟の旅 1

 日本で旅番組としては長寿ナンバーワンの「遠くへ行きたい」で新潟を旅してきたわけ。旅はいいもんだねぇ〜 。

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 自分の場合の旅の最大目的は、人との出会いもさることながら、この土地の独特の環境に育まれた人々の生きる様をみて、そしてその中でカルチャーショックを受ける出来事があればもう完璧だねぇ。そういった意味では今回の旅は新潟のコシヒカリもタワワニ実っていたけど、
本当に実りの大きな旅だったよ。

 まず楽しかったのは蒸気機関車SLC57「ばんえつ物語号」に乗車できたこと、その形は現代の電車のようにけっして洗練された風貌ではないけれど、それがまるでお年寄りの経験を積んだ老練なシワに見えるほどに格好良かったわけよ。その汽笛は生まれて初めて生で聞かせてもらったけど、何処までも澄んでいて遠くに届く美声、そしてゆっくりと出発、決して速くはないけど、その分窓を明けで自動車にでも乗っているかのように窓に腕を掛けて外を眺めることができるわけ。すると、単線ということもあるのか線路と景色がやはり自動車並み近いんだよねぇ、これが。
 そしてここが自動車のドライブと違うのが、SLの走る姿が多くの人に愛されているということ、とにかく多くの人がその姿を見ようと線路脇に出てきて手を振るわけ。自転車に乗った学生さん、オジィと孫、洗濯干し場から手を振る人もいれば、中には川にヒザぐらいまで浸かりながら、その雄姿を三脚カメラで捕らえる人もいたねぇ。そのたびにSLは自由奔放に素敵な汽笛で答える。
 だから、皆がSLに手を振っていることは良くわかるんだけど、思わず自分に手を振ってくれてるんじゃないかと錯覚を起こして嬉しくなって、手を振り返したりなんかして、楽しかったねぇ。

 聞けば、電車が走るようになってから、SLはその黒鉛が煙たがられて一時期、敬遠されていた時代があったらしいさぁ。でも今この時代に希少価値も含めてそのレトロさとアナログっぽいところに、人を癒してくれる何かがあるという感じなんだろうなぁ。

 俺もこんなSLみたいなオジィになりたいなぁと、つくづく思ったねぇ。
 強引に沖縄の人間に例えるなら、民謡歌手の登川誠仁みたいなオジィなのかもしれない。強情だけど、どこか粋でその歌声は動物をも唄わせる実力をもっているというところかねぇ

                                    うちなー噺家 藤木勇人

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美ら島物語藤木勇人の『うちなー島旅見聞録』
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