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第32回竹富島の種子取祭もう一つの物語

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  実は、種子取祭のときに思わぬ人と出くわしたわけよ。


  それは、去年の1月に北海道へ一人芝居のツアーへ
出かけたんだけど、その時、私の芝居の合間に唄サンシンでつないでくれる人を、ということでツアーをプロデュースしてくれた方が探していてくれたわけ。


  みなさんは沖縄の唄サンシンの出来る人って聞くとやはり沖縄の人だろうなと普通に思うでしょ。私だって普通にそう思っていたら、これがなんと北海道の人だったわけよ。今や全国で沖縄のサンシン教室は大流行だからねぇ。
  話しが横にそれたさぁ・・・ゴメン!!


 その北海道でお世話になった田中さんが、種子取祭の会場にいたわけよ。実は、自分けっこう人の名前と顔を覚えるのが苦手なんだけど、彼は公演後にわざわざ丁寧な手紙までもらったものだから、しっかり記憶に残っていたわけ。



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  それで驚きと一緒に「田中さんも種子取祭を見に来たの?」って尋ねたら、返ってきた返事が「私、今竹富島に住んでるんですよ」っていうものだから二度ビックリしたわけよ。それりゃー、あれだけ観光客が来る祭りだから誰だってそう思うさぁねぇ。




  でも確かにそう言われてよく見れば日にも焼けているし・・・それで社交辞令のように「なんで住んでるの?」と尋ねたわけ。なぜかというと、頭の中では大体予測は付いていたわけよ。それは、けっこうよくあることで、沖縄の何でもいいんだけど、本土でその趣味にはまってしまって、最後はやっぱり本場の沖縄で、それをもっと濃く体験してみたいという思いに駆られて、ついに島に移住してきてしまったパターン。田中さんも唄サンシンでド壺にはまったかと思ったわけさぁ。


 だけど、その答えは意外だったねぇ。


  話しでは札幌で勤めていた会社が倒産してしまって。傷心のまま行く当てもなくサンシンを持って北から南下してきたら、竹富島にたどりつたらしく、ちょうど観光業の職があって「こんな私でも雇ってくれますか?」と、採用面談の時に尋ねたら、担当の人が「この島ではそんなことはなにも関係なく誰でも働けるんだよ」と言ってくれたそうで、本当に島に救われた気持ちになったらしいわけ。

 「来週から水牛を引くことになったので、今一生懸命島の歴史を勉強しています」という笑顔の田中さんはホントに真面目ないい人だなぁ〜と思ったねぇ。
 是非とも竹富島に馴染んで、なんならこの楽園で永住すればいいのに・・・

                                    うちなー噺家 藤木勇人

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