過ぎ去った日のイベントですが、2002年11月13日に、復帰30周年を記念して、『ニクブクの会』主催で『クースフェスタ2002』という古酒を飲むイベントが、那覇市内のホテルで行なわれました。
ちなみに『ニクブク』というのは、稲の茎で編んだむしろのことです。
昔は、蒸した米をニクブクの上に乗せて黒麹菌を撒き、麹の着床を行なっていたので、泡盛造りに重要な役割を果たしていました。また、泡盛の母とも言われた大切な道具でした。
戦後の泡盛造りは、戦前のニクブクに残っていた黒麹菌から始まったとも言われています。
『ニクブクの会』は、1993年8月に沖縄市を中心に結成された泡盛古酒を愛飲するグループで、「感動と発信」をテーマにして、いろいろな活動を展開する団体。
そのメンバーの中には飲食店向けの店舗を1軒借り切って、泡盛倉庫にしている人もいました。その場所を訪ねたことがありますが、箱のまま眠っている泡盛やカメで塾生を続ける泡盛が所狭しと置かれている光景はまさに圧巻でした。
そこである日、ニクブクの会の古酒を飲む会が行なわれ、私もお誘いいただいたのですが、見たこともない銘柄やラベルの泡盛や、メンバーが自宅の甕から分けてきた甕熟成の20年古酒など、普通では味わえない泡盛だらけで、感動しっぱなしでした。
おっと、話しをクースフェスタに戻しましょう。
クースフェスタは、沖縄が世界に誇る琉球文化である名酒泡盛クースを、誇りと自信を持って内外へ発信しよう!という趣旨で開催されています。
クースフェスタ2002では、酒造メーカーや個人から30本以上もの希少で貴重な古酒が出品されました。ビール瓶に入った古酒や、すでにラベルがなくなった古酒など、時を感じさせる古酒が勢揃い。
特に熟成が30年を越える古酒は、宝物として大切に保管しているものなので、それが一同に、しかも飲むために会することは泡盛・古酒界ではまさに事件!といってもいい出来事。
49年、45年といった超レアモノ古酒の前には長蛇の列ができていました。
クースフェスタ2002は、会費1万円で年代物の古酒(20年もの以上)が飲めるとあって、 開始時刻前からたくさんの人が会場入りしていました。
受付でお気に入りのお猪口やグラスを選び、それに古酒を注いでもらって飲むスタイル。そのお猪口は持ち帰ってもいいもので、密かに名工の素焼きのお猪口も混ざっていたから、知っていた人は迷わずそれを選んでいました。
開始時刻になると、ジャズバンドの生演奏がはじまり、特に開始の挨拶もなくクースフェスタは始まりました。主役は古酒だから、各界の代表挨拶などは行なわず、ステージイベントも限られたものに、というのがクースフェスタのスタイルなのだそうです。
この日のために東京から日帰りでやってきた方もいて、最終便で東京に戻るからと時間を気にしつつも、46年古酒を味わっていました。
古酒・泡盛を味わうために集まった人々の喜びと満足感溢れる笑顔がいっぱい。まろやかだけど奥深い味と香りに浸りつつ、ゆるやかに時は流れていきました。
実は私、このクースフェスタにお手伝いで参加していたのですが、イベントが終わったあと、とんでもないものを頂きました。
知り合いが寄贈した30年古酒(一升瓶入)が半分残っていて、寄贈した人が『おまえ、これもらうか?』と言ってきたのでカチャーシーを踊りたいのを必死にこらえつつ、ニクブクの会の会長さんにお許しを得にいくと、もうすぐ産まれてくる子供のうぶ湯に使いなさいねと言われて、ありがたく頂戴したのです。
その30年古酒はビン熟成のもので、30年経っていてもダレていなくて、まだまだ成長するような予感を持つ酒でした。 時の旅をしてきた力強さとまろやかさを持ちつつ、30歳ではまだまだ子供、俺の力はこんなものじゃない、その昔200年古酒もあったではないか、俺の熟成の旅はこれからもまだまだ続くぞ!というメッセージを伝えているような素晴らしい古酒でした。
クースフェスタは2002年のあとは、開催されていませんが、現在ニクブクの会では35年以上の古酒を探しているそうです。数も少なく個人で持っている人もなかなか譲ってくれないので探すのは大変とのことですが、名酒泡盛が確保でき次第、盛大なクースフェスタの開催を計画するそうです。

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