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ムンチャー獲り
さとなおプロフィール
さとなお。東京生まれ。全国のレストランを自腹覆面で審査する「ジバラン」団長。おいしいコラム満載のさとなお個人サイトはこちら
著書:「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「さとなおの自腹で満足!」(コスモの本)、「うまひゃひゃ さぬきうどん」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)など。




石垣に降る雪「南雪」。北と南をつなぐ泡盛を、その感動物語とともに楽しむ。


それはある女性のひと言から始まったのである。

「私、ムンチャーのためだけに、毎年沖縄に行くんです!」

天使のひと言でもあり、悪魔のひと言でもあった。
あんな楽しい遊びを教えてくれた感謝は忘れない。ユカさんありがとう。
でもおかげでたぶんこれから一生、毎年10月になるとムンチャーのためだけに有給休暇を取りたくなってしまう。小浜島に行きたくなってしまう。もし仕事や財布の都合で行けなかったらとても鬱々とした日々が待っているだろう。いままで知らないなりに機嫌よく生きてきたのだ。こんな楽しいアソビ、わざわざ教えてくれなくてもよかったではないか!

ムンチャーとはタコのことである。島ダコ。沖縄本島ではウムズナーとも呼ぶ、子供の拳ほどの大きさのアタマをしたタコのこと。海中にいる大きなタコとは少し違う。だから潜って捕るのではなくビーチで捕る。くるぶしほどの干上がった海で捕る。タコ穴に潜ったタコと駆け引きしながらじっくり捕る。
それが抜群におもしろいらしいのだ。
こいつを捕るためだけに毎年沖縄に行くというユカさんが興奮して説明してくれる。

「最初はダイビング目的で小浜島に行ったんです。夏の混雑を避けてのんびりスキューバするために10月に行ったんですね。そしたら宿のおじさんが『ちょうどムンチャーの季節だから、捕りに行かないか』って。『は? ムンチャーって何?』って感じだったんだけど、一回やってみたらこれが死ぬほどおもしろくて。もうそれからは、ダイビングなんかしないでムンチャーずっと捕っていた〜い!ってなっちゃって」
「ユカはもう病気だよな。オレはダイビング好きだから今でも小浜行ったらスキューバですよ。でもユカはダイビングもつまんなそ〜に潜る。早く海から上がってムンチャー捕りしたくてたまらないみたい」

会社の同僚のミッシー(本名・三島)と奥さんのユカさんがわが家に遊びに来たときにそんな話になったのだった。沖縄に何度も何度も行っているボクではあったが、ムンチャーのことは知らなかった。
ちなみに後で那覇在住の友人に「ムンチャーって知ってる?」って聞いても知っている人はほとんどいなかった。島ダコはもちろん知っているけど(おいしいことで有名)、それをムンチャーと呼び、捕るのが実におもしろいということを誰も知らなかったのである。
沖縄在住者にもまだほとんど知られていないアソビなのだろう。というか、ひょっとしたらまだアソビではなく漁の領域なのかもしれない。

「とりあえず、今年、いっしょに行きませんか?」

2002年10月。
誘われるがままにボクたちはワクワクと出かけた。
わざわざそのためだけに沖縄に出かけさせるムンチャー捕りっていったいどれほどおもしろいのだ?
アタマの中、期待でムンチャチャチャなのであった。

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  2003.04.21掲載)




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