美ら島物語
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石垣に降る雪「南雪」。北と南をつなぐ泡盛を、その感動物語とともに楽しむ。
独り占め
比嘉荘
ムンチャーの穴





10月はムンチャーに最適な時季らしい。
まだムンチャーがすれておらず(11月頃になると駆け引きにすれてなかなか捕れなくなる)、秋の大潮(干潮)でビーチが干上がるので捕りやすくなる(モズクを採ったのは春の大潮ね)。まだまだ泳げるほど暑いが、海水浴客はほとんどいない。そういう意味でも理想的だ。

泊まったのは小浜島西部、東細崎の民宿「比嘉(ひが)荘」。ミッシーの常宿である。
この民宿が素晴らしいのはそのゆったりしたアバウトな空気と、なにより庭のロケーション。部屋とかはリゾート派には素朴すぎるかもしれないが、海に向かって気持ちよく開けた広い庭のテーブルでビールや泡盛とともに朝メシ夜メシを食べる極楽さに比べたら、リゾートなんかくそくらえと思えてくる。
テーブルは大きな木の下、芝生の上にあり、30歩も歩けばもうビーチ。薫り高い風がテーブルの上を通り過ぎる。いったんここに腰をすえるとほとんど動けなくなる。都会へも帰れなくなる。そんなロケーションなのだ。


「さとなおさん、どうします? すぐムンチャー捕りに行きますか?」

ボクたちが比嘉荘にたどり着いたのは午後。
前日に比嘉荘に入ってすでに午前中ムンチャー三昧だったミッシーとユカさんが、着いてすぐ誘ってくれた。行く行く! すぐにでもムンチャー捕りしてみたいぃ〜!

とるものもとりあえず浜へと向かった。
まずは細崎近くの半島状の細いくびれの北側のビーチへ。舗装道路を港から細崎に向かって走っているとたまに浜に出られそうな細い道が草むらにある。そこを(ハブに気をつけて)入っていき、浜に出る。地元民が使う地元道である。

浜に出る。人っ子ひとりいない。おお、さすが大干潮。ずぅっと向こうまで海は引いている。ふくらはぎを濡らさずに1kmくらいは沖に出られそうなほどである。

「まずムンチャーの穴を教えますね。よく下見て歩いて下さいよ」

ミッシーが先導してくれた。
干上がったビーチにはいろんな穴が開いているが、ほとんどがカニのもの。それでも諦めず遠浅のビーチを歩いていると10コに1コくらいキレイに着飾った穴がある。サンゴや小さな貝殻に囲まれた直径5cmほどの小さな穴。これがムンチャー穴である。ムンチャーがその器用な8本の手足で見事な玄関を作っているのだ。カニの穴は砂で固めたものが多いが、ムンチャーは色鮮やかなサンゴや貝殻。なるほどー。お洒落なヤツなのね。

「そうそう、ムンチャーってわりと美的センスあるんですよ。えーと、あ、これはカニ穴ね。……これもカニ穴。これも…うーん、これはどうかな。たぶんカニ。なかなかないですね……あ、これです。これこれ! キレイでしょう? これが典型的なムンチャー穴です。はい、さとなおさんにボクの仕掛けあげるから、これを穴に突っ込んで、じっと待って下さい。ムンチャーに気づかれないようにね。ムンチャーと目が合ったら絶対捕れません」

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