美ら島物語
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□初対面…
上品な小皿にちょこんと座った“とうふよう”が出てきた。1辺約2センチの立方体その固まりは、とろりとした朱色のソースをまとっているから、固まりの中の様子は全くわからない。沖縄料理屋で“とうふよう”を注文する。だいたい一皿500円くらい。ほんの小さな固まりでこのお値段だから、なかなか気位の高い食べ物だ。

□衝撃

その味については、賛否両論。まっぷたつに意見は分かれる。東京生まれの大分育ちで、沖縄初体験だった6年前の私には、“とうふよう”との出会いは衝撃だった。世の中にこんな食べ物があるのかと驚き(美味しいと思ったわけではない)、公設市場で“とうふよう”の瓶詰めを買い求め、両親へのお土産とした。母は、ジャムを入れるような瓶の中に、どろどろとした赤い汁がたっぷりと入っている瓶を、箱の中から取出して大騒ぎ。それから瓶を傾けて、漬け汁の向こうに見えるチーズのような固形物を見つめている。「高かったんだからね」。往生際の悪い母に私はそう言い、瓶を開けた。台所に、ぷーんと泡盛の香りがたった……。

□今や、ご飯の友に…

その後、足しげく沖縄へ行く私に、“とうふよう”は買ってこないようにと、母は言う。ところが、私はと言えば、“とうふよう”との出会いから6年を経た今、なんと!、時々無性に“とうふよう”を食べたくなるのだ。そうして、いてもたってもいられなくなり、冷蔵庫に眠る、残り僅かになった“とうふよう”の瓶から、それをひとつだけ取出し”ご飯のお友”として“とうふよう”を食べている。 空になりつつある瓶を覗くにつけ、そろそろ沖縄へ行かなくてはと思う。

□陸の珍味…

さて、そのお味だが、例えて言うなら「泡盛の香りたっぷり絹練り大豆(ウニ風味)チーズ」とでもなるのだろうか。 新島のくさや、滋賀のふなずし、富山の黒作り、肥後のからすみ、三河のこのわたがわが国を代表する水産物の珍味なら、沖縄の“とうふよう”は、まさに珍味界の“陸の王者”と言えるのかもしれない。




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