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ハンダマは「血を作ってくれるもの、産後の回復にとても良い薬だ」といわれる滋養食野菜です。貧血気味だった私に「体にとてもいい薬だよ」と母は言って、ハンダマの味噌汁を子供じぶん、よく食べさせました。玄米乳のようにとろみのついた味噌汁は紫色に染まり、入っていた卵も紫色。食卓についた時すでにその匂いがして、なかなかお碗を持つことができませんでした。私は母がいないすきを狙って鍋にもどしたりして…。
あの頃どの家の庭にもカンダバー(八重山かずら)やエンサイ、ねぎ、ナビラ(へちま)、それにたっぷり堆肥を施したこのハンダマがありました。今のようにスーパーがなかったあの頃は、自分で作った野菜を食べていましたから、週に一度くらいの割合で出てくるのでした。嫁いだ家にも広い野菜畑がありました。大根、人参、ピーマン、トマト…と野菜がずらり並び、そしてマンドゥイ(パパイア)の横には、あのスイゼンジナの大きな株がまたありました。
「ウヤ、シルントゥ キヤ ツーリドー」(与那国の言葉で“これは、産後の人にとって薬になるものだよ”という意味)と同じような言葉でお義母さんに勧められました。母が作ったものと同じ、コッテリとした味噌汁で同じように卵も入っていました。
「タイグ、アッツアルタ ハイ」(早く、熱いうちに食べて)と私の前には産後を気遣ってくださるお義母さんが、じっと座って見守っていました。しかしいくら苦手でも、せっかく作ってくださったものを「うち、これ嫌いだから食べきれない」とは、なかなか言えませんでした。思い切って、ご飯と梅干を口に入れては少し食べ、食べ「美味しいねー」といいました。
しかし年齢とともに嗜好もずいぶん変わるものですね。ごま油でさっとチャンプルー(炒め)したり、色を生かしてキャッサバの餡子(砂糖天ぷらの具にしたりします)に入れたり、いまではあんなに苦手だったハンダマが、どこか懐かしさを感じさせるの好物の一つになっています。
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