美ら島物語
けいさい予定 サイトマップ
美ら島検索
やいま発 嵩西洋子のハーブだより 〜島の食材を使ったハーブ料理 今月のハーブレシピ

ハーブだより エッセイ
4月スイセンジナ
5月 シマグワ
6月 ツルナ
7月 リュウキュウヨモギ
8月 イタビカズラ
9月 ツボクサ
11月アセローラ

7月 リュウキュウヨモギ
真っ赤な夕日が海の向こう側に沈みかけ、潮もしだいに満ち始めました。座っている岩肌が昼間の余韻を残し、まだあったかく感じられます。ザッザ ザー ザーと足早に潮は岩高くまで上がり、私のすぐ近くまでやってきました。ピッチョン、ポッチョンと岩にぶつかり合う波の音を聞くのも、心地よいものです。岩の下の魚やカニたちも忙しそうに泳ぎまわり、私がみているのもまったく気づいてくれません。しばらく魚たちの動きに目をやっていると、いつしか波の音だけが聞こえるようになりました。ほんとに昼間の暑さはどこへやら。


さて、以前はハママーチも浜辺でたくさん自生していたものですが、今はもうほとんどその姿を見ることはできなくなりました。珍しくも数年前、少しばかりの株とめぐり合うことができ、その株から大切に一枝を持ち帰ることができました。たった一枝から挿し穂でどんどん増やし続け、今では友だちや知人などに分け合うまでになりました。
リュウキュウヨモギ

*リュウキュウヨモギ

(学名)
Artemisia campestris L.
(地方名)ハママーチ
(薬効)疸石 扁桃腺炎 糖尿病 腎臓病 解熱作用


ビタミンCがたっぷり! シークヮーサー ハママーチは仲間のニシヨモギなどとは異なる細い糸状の葉をし、草姿はまるで松の盆栽を思わせるように整った形をしています。同じ仲間のヨモギである葉の広いニシヨモギは豚肉や鶏肉などの料理に向きますが、一方ハママーチはディルやウイキョウ(注1)のようにお魚料理に相性がよいのです。


ほとんど料理などできなかった私が、嫁に来たてのことです。魚が豊富にある与那国では、まず魚料理ができなければなりませんでした。隣のおじーは磯釣りが好きで、エーグゥワー(アイゴ)やイラブチャー(ブダイ)(注2)などをよく釣ってきては、時々家へ持って来られました。切り身になったものはいいとしてもまるごとの1匹をいただいたときにはとても苦労しました。三枚おろしができなくて、私はうろこをおこした魚をそのままぶつ切りにしましたが、それがどうもうまくいかなくて、骨の部分を切ろうと頑張っているうちに肉のほうがぐちゃぐちゃになってしまいました。


砕いたような魚をお鍋に入れ塩を振りかけて、教わったように水を入れて炊きましたが、大きな塊ではなく、小さなくずのようにしかなっていませんでした。困った私は裏畑にあるきれいな若葉色したハママーチに目がとまり、しあげに葱ではなくハママーチを刻みいれました。「えっ!ハママーチを魚汁に?」「んっ! これはおいしい」 しかし喜んで食べた人、お碗を持たなかった人、その日の夕食はちょっと大変でした。
華やかに咲く夏の花、ボーラン


今日は、私の故郷である与那国の香りをたっぷりと効かせた、長命草(注3)を練りこんだ麺に、スタミナいっぱいのカツオのなまりぶしやハママーチなどをのせて涼をとろうと思います。


(注1)ディル、ウイキョウ…ともにセリ科のハーブ。ウイキョウは別名フェンネル。
(注2)エーグゥワーはスズキ目アイゴ科の魚。鱗がない南国の魚。イラブチャーは、サンゴ礁の周辺に多くいる。外見は雌が赤み、雄が青みの強い色をしている。刺身を酢味噌和えなどにして食べる。
(注3)長命草はボタンボウフウというセリ科のハーブ
 
7月のハーブレシピへ→





美ら島物語美ら島情報嵩西洋子のハーブだより
この記事に関するご意見・ご感想をこちらまでお寄せ下さい。