おきなう 2007年11月14日号
 「池田卓」主催 第1回船浮音祭りレポート

西表島の「陸の孤島」船浮。携帯の電波も圏外になってしまうという・・・。
西表島の周遊道路の終点である白浜港から今でも船でしか行くことのできない場所なのです。

この船浮で生まれ育ったミュージシャンの池田卓さんが、28歳になった今、自分の愛する故郷で、「船浮音祭り」というイベントを開催しました。
それは、故郷へのプレゼントであり、船浮とは縁のない人たちと船浮とを結びつけるきっかけでもあります。




11月4日の朝は、どんよりと黒い雲が立ち込め、雨がポツポツと落ち始めました。
石垣と西表島の上原港を結ぶ航路は天候不良で欠航のため、大原港周りの船浮への道のりは石垣島から約2時間、さらに遠く感じます。

「船浮音祭り」は雨天決行です!
そんな天候にもかかわらず、白浜港には多くの人が集まってきました。
そのため、船浮海運の10時55分発の定期便はあっという間に定員オーバーです。

さらに音祭りのために白浜から船浮へ渡りたい人を運ぶため、池田卓さんのお父さんの米蔵さんの運転する船を始め、無料送迎船が往復することとなりました。

こうして、船浮に縁のある人もそうでない人も、船浮への思いは人それぞれですが、この祭りをきっかけに300人近くが船浮に集まりました。
船浮を訪れること、そして池田卓さんや唐真久乃さんの歌が聴けるのを楽しみにしている人たちです。


もちろん、音祭りを楽しみにしているのは、船浮の人たちも同じです。
会場では、船浮青年会のバザーが行われ、そば、味噌汁、焼きそばなどを販売し、みんな大忙しです。
西表島では「船浮音祭り」の前日までは「節祭」で慌ただしい3日間でしたが、それにもかかわらず、楽しそうにしています。

こじんまりとした「かまどま広場」には公民館や小中学校のテントが立てられ、ステージは木で作った手作り感あふれる素朴なもの。
出演者と観客の距離の近さと素朴さが、このイベントの温かさをかもし出しています。

12時が近づいて、竹富町長を始め、会場中を走り回る子供達から、お年寄りまで、たくさんの人が集まってきました。






  
 



雨はあいにくやまず、音祭りは始まりました。
ライブを始める前に、池田卓さん自ら、トイレの場所や帰りにも送迎船が出ること、さらには飲酒運転をしないように、などをアナウンス。
ステージの出演者としてだけではなく、船浮音祭り実行委員会の委員長として、祭りが無事に行われるように心を配っていることが感じられました。

ステージでは、まず、池田卓さんが「デンサー節」などの八重山民謡、さらに「なりたいな」などのオリジナル曲も披露。

空にはどんよりと薄暗い雲が立ち込め、雨はしとしとと降り続ける中、ステージも雨にぬれ、楽器の具合も心配になってしまうほどですが、気にせず1曲1曲大切に歌い綴っていきます。曲が終わるたびに大きな拍手と指笛が会場中に響きます。

次に、ゲストの唐真久乃さんも、初めて訪れた船浮が、この祭りをきっかけに特別な場所になったと話されて、澄んだ声は聞いているだけで爽やかな気持ちになりました。オリジナル曲はもちろんですが、「てぃんさぐぬ花」はとても印象的でした。

こうしてライブが進むにつれて、テントの中で聞いていたお客さんも、カッパや傘で雨をしのぎながら、ステージに近い場所へとどんどん近づいてきました。




そして、再び、池田卓さんのライブです。

途中、池田卓さんのお母さんを含む、船浮の婦人会の方々もこの日のために練習した踊りを披露。バザーで忙しかった青年会の皆さんも池田さんの歌に合わせてステージの前で会場を盛り上げます。

座っていた会場の人たちも1人、2人と立ち上がり、手拍子したり、踊ったり。「安里屋ユンタ」は会場中で合唱です。

さらに、「この島に咲きたくて」など、池田卓さんの故郷への思いが込められた曲が、心に響きます。

こうして、いつまでも続いて欲しいライブですが、石垣へ戻るフェリーの時間を考え、アンコールは一切なしという宣言どおり、15時に最後の曲が終わりました。

すると、池田卓さんは最後の挨拶をすませて、裸足のまま港へ走り、白浜へ戻る船へ乗る人と1人1人握手をしながら見送りをしていたのです。

 


 


 




   
   






ステージの上でも、船を見送る時にも、何度も「ありがとうございます」と繰り返していた池田卓さんですが、きっと船浮の人も、船浮を訪れた人も、音祭りに来た人すべてが彼に「ありがとう」という気持ちだったと思います。

雨で冷たくなった手も、気にならないほど、心がポカポカになった、手作りの音祭り。
船の中から少しずつ小さくなっていく船浮は、また訪れたい大切な場所になりました。

第2回は来年の4月に開催されることが決まっています。
「来年はもっとたくさんのアーティストを連れてきますよ」と約束してくれました。

池田卓さんの手で船浮に小さな苗が芽生えた第一回の音祭り。
きっと島に咲く花になって、船浮とより多くの人を結びつけることができることでしょう。
 


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