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「ちゅらさん」の大ヒット以来、空前の沖縄ブームといえる時期を迎えましたが、沖縄が好き、という人に「沖縄のどこがいったい好きなの?」と聞くと、たいてい「沖縄には人情があるから」と答えるんですね。
買い物をするとオマケをしてくれたり、知らない人にも笑顔であいさつを返したり…。そういう事を普通にしてくれる、沖縄の人の気持ちのあたたかさに感動するんだそうです。
だけど、人情というのは日本中どこに行ってもあると僕は思います。
東北にも九州にも、東京の下町にも。
ただ、沖縄と比べると見つけにくいのかもしれませんが。
僕は、日本の古き良きものは、日本のはしっこに残っているんじゃないかと思うんですよ。というのも、僕が「ちゅらさん」で演じた兼城という男が開いている店は「ゆがふ」。この「ゆがふ」という言葉は“五穀豊穣、無病息災 etc…”、世の中の良い事すべて、という意味で漢字で「世果報」と書きます。漢字で書けるということは、元は日本語なんです。
でも、今は日本語として残っていないですよね?
そして、「ちゅらさん」と言えば、なんといっても平良とみさんが演じた「おばぁ」です。
あれは、どこから見ても「沖縄のおばぁ」でしたが、実は違うんです。とみさんが演じたのは、「沖縄のおばぁ」ではなくて「日本のおばぁ」なんです。彼女が街を歩くとすごいですよ。あっという間に人だかりができるんです。それも女性がほとんど。皆、彼女に理想の「おばぁ」像を重ねているんですよね。「自分が歳を重ねたら、こんな可愛くて強いおばぁになりたい」という願いの表れなんです。
さらに、「ちゅらさん」では、古波蔵家や「一風館」の下宿人達で食卓を囲むシーンがたくさん登場しましたが、これは日本の懐かしい大家族制を思い出させましたし、さらに言うと、今何かと話題の「スローフード」や「スローライフ」を流行に先駆けてドラマ化していたと思います。
でも、この「スロー」は単純に「ゆっくり」とか「のんびり」、「だらだら」などと解釈されるものではなくて、「じっくり」や「再生」、さらには「心のゆとり」と訳されるものであると思います。
人情、おばぁ、大人数での食事…。皆が昔から知っている、古き日本の家族や生活のあり方が描かれていたから、視聴者の皆さんは安心して「ちゅらさん」を見ることができたのではないかと思います。
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