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海人紀行
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第3回 伊良部島 vol.2 「ウミンチュの島・宇宙」

神役の中で祭祀の最高責任者である「ウフンマ」、神懸かりをする人の意味である「カカラ」、人と神の仲介をする「ナカンマ」。それぞれ役割が異なるが、どれも気が遠くなるような、仕事量、責任の重大さに、選出されたときには、泣き出してしまう程だという。
しかし、神意であると引き受けることになる。

フリーカメラマンとして生きている私は、強制されて何かすることが無い。
また、そういった生き方を選んで来た。自由であるが、何の保証もない。
己こそ己の寄る辺。倒れたらアウト!
「やりたくないことでも、しなければならない」それは義務教育期間にしか記憶がない。
嫌でもやっているうちに、新しい発見があった。知らない自分に出会えた。枠の中で精一杯楽しむ。
今の私とは縁遠く、でもそこに大切な何かがあるのかもしれない。
「青い鳥」を探す旅のように飛び出した私は、いつ何処で、何を気がつけるのだろう。

気が遠くなるような、仕事量、責任の重大さだが、神意であると引き受ける
気が遠くなるような、仕事量、責任の重大さだが、神意であると引き受ける
 

夜、ナナムイに籠もり、一睡もせず、翌朝そのまま、8カ所のウタキのニガイについて回った。
心労は想像も及ばないほどだろう。それなのに、彼女たちは、私を気遣ってくれる。
その優しさに触れるたびに、自分のことばかりしている私を、恥ずかしく感じる。


女の私が見て、美しいと感じるのだから、男の目にはどう映るのだろう
土地のものを食べ、空気を吸い、肌からネルギーを吸収し、島の人になっていくのだろうか
土地のものを食べ、空気を吸い、肌からネルギーを吸収し、島の人になっていくのだろうか

翌朝から、ウタキを巡り、神役によって数十分のニガイが成されると、大勢のナナスンマ達が合流しクイチャーを踊る。「ユーンテル、ユーンテル」と神歌を歌い続け、豊作、豊漁、無益息災を祈願する。
神歌は30分以上も続き、ひたすら円陣を回り続けるのだ。

手のひらを天に向け、光を受け取るかのように、空をつかむようなしぐさ。
結った髪と着物姿。女の私が見て、美しいと感じるのだから、男の目にはどう映るのだろう。
「顔も洗えない、お風呂も入ってないよ!」(笑)瞬間ふざけた言葉を交わしてくれる。
一緒に行動させてもらい、合間ではお話をし、なんだか、女学生と話しているようだった。
箸が転がっても笑うように、たわいもない会話で笑いあったり。
懐かしいような、あったかい気持ちになる。厳粛な神行事の合間の出来事。

こうして8カ所のウタキを回り終える頃には、もうすっかり日が暮れていた。
神様の失礼に当たらないように、「神の座」に入るときは、皆、裸足。終わる頃には足の皮はむけてしまう。
土地のものを食べ、空気を吸い、肌からネルギーを吸収し、島の人になっていくのだろうか。
島のため捧げるユークイの時間、人生の一端を垣間見て、そんなことを感じた。

2005年2月に「海人紀行 伊良部島 Vol.3」を掲載予定です。
お楽しみに!


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