航海安全・大漁祈願の泡盛を海へ撒きおえると、「彼氏は元気か?」「なんで一人でいるのか?」海人おじぃが話しかけてきた。 「30にもなったら、大変だよぅ」。年を聞いてくるが、なおさら答えられなく。 私の年齢で独りは、行き遅れ?!心配してか、おもしろがってか、あれこれ聞いてくる。 その表情は真っ暗でよく見えないが、にやにやしている様子が伺える。 5時30分には道具を点検し、網類の積載を終える。
まだ暗い6時頃、海上で、今日の風向きと潮流等から漁場を選定すると、潜り長の乗るセキニンブネを先頭にそれぞれのサバニは走り出した。私は、福里丸に乗せてもらっている。 「波が出てくるよ!」島(宮古島本島)に遮られていた風・波が、池間大橋を超えたあたりから、直撃し始めた。 さっきまでの穏やかだった時間が信じられない。波を切りながら走るサバニも、時には、大きな波に乗りあげ、海面にたたき付けられる。
バタン!おしりをつけて座れば、あざが出来てしまう。立ち上がると、海に放り投げられるような、どうにも自分のポジションが安定しない。 カメラは、しまうことすら出来ず、大きなビニールの袋にぐるぐる巻きにして、しっかり抱く。 体中びしょぬれだ。
「冬は(波高)3、4メートルは当たりまえさ。」セリ場で海人が話していたことを思い出す。(これが当たり前) その上、水温が下がると、魚は深く潜っていく。夏場に比べ、網の設置位置も深くなり、潮流が強くなることは、ダイバー達の労働条件もさらに過酷になるということだ。
漁場に到着すると、夏に見た景色とはまるで違う。青く鮮やかだった海の色は、黒に近い濃紺。
朝日が差しても、透き通らない。魚群を探し回るダイバー、他のサバニは、波で見え隠れし、自分のいる位置も不明確。それでも、船長の福里さんは、シンカをすばやく見つけては、合図があると、船を回す。
潮のあたりがあわないらしい。何度もポイントを変えては、数名のダイバー達が、魚群がいるか否か探りを入れている。
母船に黒旗が揚がった。魚群を発見し、潜り長が網を設置する場所を決定したのだ。