高台にある工房の中では、白く長い布がごく静かに揺れていた。ゆったりとした仕種で作業するお弟子さんの女性達。会話が生まれると、さざ波のような笑い声が流れだす。白砂の海辺、その木陰のような爽やかな空間。 穏やかな声音が印象的な、伊差川洋子さんが迎えて下さった。
那覇の久茂地出身、工房を開いて25年になる。東京で学生時代を過ごしてそのまま染色デザインの仕事をしていたが、沖縄の本土復帰を機に故郷へ戻ってきたという。以来、沖縄の伝統の一端を担い続けている。 階上のギャラリーへと案内してもらう。蝶に蘭、ゴーヤなど南国の花鳥風月が大らかに描かれた帯やタペストリーが並んでいた。
「これは『筒引き』で描いたものなんですよ」 着尺は『型置き』という技法が使われる。模様を彫った型紙の上から糊をおいて、防染してゆく。『筒引き』は筒に入れた糊で直接模様を描きながら防染するので友禅よりも太い筒を使うので、くっきりと大胆な印象だ。輪郭の白も際立ち、逆光の下の植物のよう。