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布を巡る旅 文・のなかあき子
目次
沖縄本島・豊見城 紅型(びんがた)
沖縄本島・読谷 読谷山花織
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宮古島・宮古上布
石垣島・八重山上布
与那国島・与那国花織




沖縄本島・読谷 読谷山花織(ゆんたんざはなうい)

タン、タン、タン。作業所には小気味のいいリズムが響き渡り、ゆるやかな時が流れていた。

日がかげり歩きやすくなってきた。緑深い道を歩を速めて進む。
焼物やガラス工房が現れ始めたが、お昼時だからだろうか、ここにも人の姿はない。喫茶室を兼ねた工房を訪ねたが、扉は開いているのに誰もいない。窓辺に並んでいる厚みのある焼物、壁に貼ってある東京からの手紙。店主はどこに行ったのだろう。
人に会うことはなく、気配だけ感じる不思議な場所。この先誰にも会うことないのかもしれない。

ようやく見つけた「人のいる」小さなレストランに入り窓辺で食事


人に会うことはなく、気配だけ感じる不思議な場所。


そして……さっきのオジィの正体は人間じゃなかったのかもしれない? ようやく見つけた「人のいる」小さなレストランに入り窓辺で食事をとりながら、そんな夢想にひたってみた。


沖縄の食材をつかった、優しい味付けの昼食に舌鼓。
心地よい満腹感と共に、焼物の里から花織の里へと移動した。
すぐ隣は米軍海兵隊施設。
空がどこまでもひらけた場所に伝統工芸総合センターはあった。建物は生命力に満ちた緑に囲まれていた。



中に入り、ガラスの戸越しに展示作品を観てまわった。裾部分にだけ花織が施された着物、藍地に白や黄色の糸が浮き上がった、夏の夜に眺める花火のような着尺。触れる近さで見てはじめて品のある華に気付く織物だ。

すぐ隣は米軍海兵隊施設。
 

「織っている場所を見学したいんですけれど」
ここでは織り作業はしておらず、読谷村内に3カ所点在しているという。センターの人に、車で作業施設に連れていってもらうことになった。

タン、タン、タン。
作業所には小気味のいいリズムが響き渡り、ゆるやかな時が流れていた。突然の来訪者にはにかんだ笑みを向けながらも、手をとめることはない。それぞれの人の手元から、それぞれの世界が織り出されている。


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