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布を巡る旅 文・のなかあき子
目次
沖縄本島・豊見城 紅型(びんがた)
沖縄本島・読谷 読谷山花織
久米島・久米島紬
宮古島・宮古上布
石垣島・八重山上布
与那国島・与那国花織




久米島・久米島紬

黒や赤茶や柔らかい白など、落ち着いた地色に織り込まれた規則正しい絣柄。鳥のようだったり、波のようだったり。何をあらわしているのだろうか……。

まずは島の東部・真謝にある事業共同組合の「ユイマール館」へ。
ユイマールとは、沖縄の方言で「協力しあう」。久米島紬に関わる人々が、ここを中心に相互協力しているという。周囲は静かな集落。どこからか子供の笑い声がきこえてきた。

中では、事業組合の方が案内してくれた。久米島紬柄のかりゆしウェアに身を包んでいた。名刺入れも紬の端切れでつくられた物だ。
展示室へ入ると、糸つむぎの道具に昔の意匠、モダンに着こなしたマネキンなどが並んでいた。黒や赤茶や柔らかい白など、落ち着いた地色に織り込まれた規則正しい絣柄。鳥のようだったり、波のようだったり。何をあらわしているのだろうか……。


工房にいる人々は自分の織り機を持たない若手の方々が多かった。


見学をひととおり終えて、併設の工房を見せてもらうことになった。現在通ってきている人は27名。自宅で作業している人を含めると、島全体で130人ほどの生産者がいるという。平均年令は66歳だというが、工房にいる人々は自分の織り機を持たない若手の方々が多かった。


「なにしろ楽しいのよ! 切り刻もうと思う時もあるんだけどね(笑)、キレやすい性格も治ったわ」
目を輝かせながら、明るい笑顔を向けてくれた女性に出会った。織り始めてからまだ9ヶ月だが、家族の協力を得て昨年10反織ることができたという。ちなみにひとりあたりの年間生産反数の平均は9反。出先好調だ。

ひとりあたりの年間生産反数の平均は9反。出先好調だ。
沖縄の絣には生活に密着したものがモチーフにされているという。

ちょうどその時織り込んでいたのは、長方形が2つ並んだ絣だった。
「トーニーっていうのよ、意味は……ブタのエサ箱」 ブタの? エサ箱?
聞けば、沖縄の絣には生活に密着したものがモチーフにされているという。カザ・マーラー(風車)、トゥイ・グー(鳥)、
そしてトーニーなど。

そういえば展示室で観た着物にも、同じ柄の絣があったっけ。
外地の人々の中には、自慢の久米島絣の柄がブタのエサ箱と知らずに着ている人もいるのではないかな……そんなことを考えてニヤニヤしてしまった。
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