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玄関には、たくさんの女物の靴やサンダル、そして傘が並んでいた。2階建てのセンター内を、エプロンをした女性たちが行き来する。
館員の方に、最近製作された宮古上布を見せてもらった。都内の百貨店では数百万円の世界の布。気軽には触らせてはもらえない高級品を目の前に、ドキドキ。
端をそっと触らせてもらった。ロウを塗った紙の表面をなでたような滑らかな手触り。縦糸と横糸が交差して織りなされた布とは、とても思えないつやのある感触だった。どんな細い糸を使えば、こんな風合いになるんだろう。
そして全体に浮かび上がっている幾何学的な模様やドットにも驚く。まるでプリントされたように規則正しい。機械を使わずすべて手作業だというけれど……宮古の人は魔法を使えるのだろうか。『究極の布』、大袈裟でなくその言葉がぴったりとくる。
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展示コーナーで生産過程を知ってショックを受けた。
あの奇跡的な薄い布を織りなす糸は、人の手によって1本1本産み出されているのだ。
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糸の原料となるイラクサ科の多年草・苧麻(ちょま)を育て、繊維を裂き、よりあわせて糸をつくる。絹糸のように細い糸をつくるためには、アワビの貝殻などで表皮をしごき取り、中の繊維を取り出して乾かす。 それを爪先で細かく細かくしごいていく。1反分の糸を作るのに、3ヶ月以上かかるというのだ。 裏庭をのぞかせてもらった。一面に鮮やかな緑色の苧麻が茂っていた。スッと空に向かって一直線に伸びた、生命力あふれる草。究極の布の卵ということになる。 |
さらに過程は続く。 細かい絣模様のひとつひとつを糸で括る。その後琉球藍で何度も染めた後に、ようやく織り作業へと入る。
織られた後には、砧打ちという力作業も待っている。ターン、ターン……別室で、ちょうど作業の最中だった。約5キロの木槌で生地を叩くこと2万〜3万回。大事な生地に穴をあけないよう、愛情こめて木槌を振り降ろすのだ。 |
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