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「糸績みするお母さんの後ろ姿を見て育ったの。昔から手作業が好きでね。縫い物、編み物……、特に糸が好きなのよねぇ」
糸績みを始めて20年という86才の豊川フミさんのお宅を訪ねた。穏やかな時が流れる自宅の一室の作業場、糸績みする熟練の指先の動きはのんびりとした口調とは対称的だ。
目が悪くなってきてはいるが、指先の感覚は簡単には衰えないという。
「身体を動かさなくていいから、年寄りにはいい仕事ですね。指先を動かすのでボケ防止にもなりますよ」 |

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トタン、トタン……雨粒が屋根を窓を叩いた。音は次第に強まり、激しく地面を打ち始めた。
「雨だねえ……」
手を止めて窓の外に少し目線を流し、また作業を続けた。 |
「糸を切っちゃって母によく怒られたわ……」
次に訪ねたのは糸績み以降、染め織りの作業をする平良蓉子さんのお宅。
豊川さんと同じく、母親が糸績みする姿を見て育った。出身は小浜島。織がさかんな地域で、行事には必ず自分たちで織った着尺が必要になる。
「パイン工場で働くか、工芸品の世界に入るか……母に相談したら、難しいけれど後者を勧められて決断しました」
本業として始めて20年ちょっとになる。丁寧な工程をふんでできる上布は、1年間に7〜8反。 |
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「大変な作業ですからね、織りあがると1ヶ月くらい休みたくなるんだけど……結局その夜に作業を始めてしまうのよ。機に糸がかかっていないと寂しいのよね」
孫の代まで着られる上布。自分の関わっていることは『歴史をつなぐこと』だと平良さんは語った。 |
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