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タクシーのカーステレオ(…というか、かなりレトロなカセットテープである)からは、沖縄民謡が流れている。沖縄の三味線、三線(さんしん)の音色と、運転手さんの鼻唄がなんともイイ感じだ。車中はクーラーがきいているけれど窓を開けてみる。むわっとした、南の風。沿道ではシーサーと、南国ムードたっぷりの花たちが出迎えてくれる。飛行機がすぐ真上を飛んでゆくのが見える。
10分もすると、港(離島桟橋)に到着。代金を支払おうとして、運転手さんの顔が沿道のシーサーにそっくりなことにも驚いたが、タクシー代の激安っぷりにビックリした。
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「べぇーつに、普通さ。こっちは初乗り運賃が390円だからさー」
「390円?安いっ。東京は660円。那覇だって450円ですよね?」
「そーさ。石垣の人はみんな車で動くからぁ。どんなに近くても車さ。石垣で炎天下に歩いてたら、頭おかしくなったかと思われて笑われるさー。ワハハハハ!」
へー、なるほど。そーなのか。さっそく「島価格」なるものを体験する。 |
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タクシーを降り立つと、港には潮の香りがたち込めていた。石垣島の離島桟橋というこの小さな港が、八重山諸島の玄関口である。石垣島以南の離島に行こうと思ったら、まず石垣島の離島桟橋に向かうのだ。ここから八重山の島々への船が発着している。八重山諸島というのは沖縄本島からさらに南西に位置し、12の有人島から成る。西表島も八重山諸島の中の1つに当たるわけで、この港から船を利用するのだ。
石垣離島桟橋は“島の港”だ。とても島っぽい。素朴で飾り気が無くて、小さいけれど島の生活の全てが凝縮されている。とてもいい。味がある。
「西表行き、大人1枚ください」安栄観光さんで船の切符を購入。片道¥2,000なり。すると切符売り場の平安名さんが「波照間島や黒島、竹富島もいいですよ。え?行ったこと、無い?ありゃー、もったいない。八重山の島々は1つとして同じ島はないんです。それぞれ個性があってどこもイイですよ」…ううっ。他の島にも目移りしてしまう、この現金さ。
「あー、うわー、もう誘惑しないで下さいー。私は憧れの西表に行きますっ!止めないでくださいっ」
売り場の人たちが、みな笑う。
「ははは、では楽しんできてください。いってらっしゃい」そういって、売り場の外まで送りに出てくれた。南の人たちの陽気な人柄に包まれ、すでに名残惜しさを覚えてしまう。最初の、別れ。
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「う゛〜。あ〜…。げ〜…。」
あっという間に、安田、激しく船酔い。昨日の雨の影響で、100人乗りの高速船は、揺れに揺れた(ように私には思えたが、酔っているのは私だけだった)。
「辛抱、我慢。辛抱、我慢…」まるで相撲部の掛け声のような酔い止めの呪文を唱えながら40分。目の前に欝蒼とした緑の島が見えてきた。ゆっくりと、小さい船が小さい港に入ってゆく。
「来た。ついに来たんだ、私。」船酔いは、いつのまにか吹き飛んでいる。
ドキ、ドキ、ドキ……。
自分の高鳴る胸の鼓動を聞きながら、私は、ついに西表島に上陸した。 |
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