美ら島物語
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ガイドの関さんが、マングローブについて説明をしてくれる。
「マングローブというのは、亜熱帯〜熱帯にかけて分布するヒルギ類などの総称です」
…そうか、“マングローブ”という名前の木があるわけじゃないのか…。恥ずかしながら、私はそんなことも知らなかった。

「浦内川では、3種類のヒルギが見られます。まず、あれがヤエヤマヒルギ。高いものは8mくらいになります。タコ足状の根っこが特徴です」
「どこっ!どれっ!?」
「ほら、あそこ。あっちも、こっちも。川岸はどこもかしこもマングローブだらけですよ」

おおっ!? な、なんだっ、この木は?TVで見たやつは、こんな風になってたっけ?だって、根っこが地上に出ちゃってるよー!?どうしちゃったの?あは、なんか、変。バランスがおかしい。タコの足のような根っこがピヨーンと地面から生えて、その上にいつも見てきた、私の常識内のいわゆる“フツーの木”が乗っかっているのだ。なんだか、この子、おちゃらけている。「根っこは地面に埋まっているモノ」という“今までの木”の概念が、ブッ飛んでしまう。
マングローブ君、変だよ、君。プププ。
「暖かいところでボケーっとしていたらさー、俺、根っこが出ちゃったぁ。あははー」と笑っているように見える。しかも、1人残らず、全員根っこが飛び出ちゃっているから笑える。おとぎの国に迷い込んだような感覚。しかし西表では、これがノーマルなのだ。

「あれがオヒルギ。こっちがメヒルギ。みんな酸欠状態の泥域で生育できるよう、呼吸根という酸素を取り込むための特殊な根を持っているんです」
はぁー、なるほど。普通の陸地に住んでいる木よりも、水に浸かっている時間が多いんだもんね。干潮の時に「よぉーし!今だぁー!」とばかりに酸素を吸っているんだ、みんな。カワイイ。おごってもらうとなると、ココゾとばかりに食い溜めする友人を思い出してしまう。あくまでも、友人、の話。
「…でも、この川って海水と淡水が入り混じっているんですよね?海水吸い上げて、どうして枯れないんですか?」
「ちゃんと根や葉に脱塩機能を持っているんです。自分でろ過して真水にしてから吸い上げているんですよ。ちゃんと不要な塩を溜めておく場所を作っているらしいですよ」
ふえー。すごい。賢いなぁ。生きてゆくために身に付けた術なんだろうな、きっと。じゃあ、葉っぱのどれかが、その役目を請け負って枯れてゆくのかな?なぁーんか、のんびりしているように見えても戦っているんだなぁ、この子たち。
そう考えると、マングローブたちがとてもカッコよく見えてきた。外見はのほほーんと穏やかそうに見えるのに…。私も苦しみは表に出さず、いつも笑って生きてたい。そんなことを考えていた。



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