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  陸の孤島、船浮に上陸



「前方に集落が見えますね。あそこは船浮という村です。西表の道は、西は白浜までしか通っていないので、それより西にある船浮へは船でしか行けないんですよ。せっかくだから、上陸してみましょう」
はー、なるほど。つまり船浮は“陸の孤島”というわけだ。「船浮は人口約50名の村です。民宿は一軒だけです。」


村には、花が咲き乱れていた。静かだ。聴こえるのは風の音、波の音だけ。みんなでぶらぶらと歩いてゆく道は舗装されていなくて、なんだかとってもイイ。
狭くて、土の匂いがムワーっとして、素朴だ。低い石垣、低い屋根。1度も来た事が無い場所なのに、懐かしさが胸にジーンと広がってくるのはなぜだろう?
子どもの頃、田舎で学校の行き帰りに毎日通っていた道を思い出す。あのカンジだ。



「これは、カマドマの碑です。船浮の歴史は古く、民謡“殿様節”の舞台でもあります。“殿様節”とは、船浮村にいたカマドマという絶世の美女と、祖納(私たちの宿泊先“西表アイランドホテル”がある地区)から村に通っていた役人との恋を歌った民謡です。カマドマは、この碑の横にあるクバデサの木の下で、愛する殿様をひざが痛くなるまで待ちつづけたといいます」

古木は、空一杯に枝を伸ばしている。海を眺めながら愛する人との再会を夢見たカマドマの代わりに、この古木が、今もなお殿様を待ち続けているかのようだ。島の恋は、切ない。船でしか行き来できないからだ。船はいつでも生死の危険を伴なう。だから、島を渡る恋は、命がけなのだ。

花を摘んでいる人、家の石垣に手を触れてたたずんでいる人。ツアーに参加しているみんなが、思い思いにぶらぶらとしながら、“大人のお散歩”は進んでゆく。道端にチョコンとたたずむ郵便ポストは、1日1便。あは。なんだかうれしくなってしまう。
 
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  (2001.07.16掲載)



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