美ら島物語
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ここでもマングローブに、会う

結局、私は無人島に上陸できずじまいだった。イソギンチャクと一緒にボケーっとしていたら、「もう船に帰りますよー」と言われてしまった。一体何をしに海に入ったのやらわからない。 船は20分ほどかけて、最後のシュノーケリングポイントへ向かった。

途中で、船長が「水落の滝」を見せに連れて行ってくれた。マングローブの林の中を、船はゆっくりと進む。林の1番奥に、滝はあった。海にそそぐ滝を見るのは初めてだ。西表島では、川と海の水が仲良しなんだなぁ。ここでは、いろんな形で山と海が共存しあっているのだという事を、あらためて感じる。

サンゴのピクピクダンス

海に飛び込むと、また全身鳥肌がっ。
だって、何――っ!この美しさはっ。サンゴの量がもー、ものスゴかった!猛烈、サンゴ!枝状、テーブル状など、様々な色や形のサンゴがあり、スズメダイが何十匹と群れている。まさに、浦島太郎の竜宮城状態。うす黄緑色のサンゴが、海の底一面に広がっている。アニメの「ムーミン」に出てくるニョロニョロが大勢いるみたいで、かわいらしい。見てみると、細長い小枝のようなものが寄り集まって形をなしているのがわかる。1本1本は、かりんとうというか、生姜というか、表面にボコボコとした突起を持っている。
うひゃー、カワイイなぁーと、サンゴをジーッと見ていたら、 「……ピクッ。ピクッ!ピクッ!!」
へっ?な、なんだ、今のは?
サ、サンゴが動いた!?まさかね。サンゴが動くわけ、ないもんね。私の見間違いかなぁ?そう思って、再度ジ―――ッと見ていると、 「………ピクピクッ!ピクッ!!」
うきゃ〜ぁ〜!う、動いてるっ、サンゴが、サンゴが動いてるぅ〜っ!なんで?どうして?うそでしょぉ!?

塊の内の2、3本が、「……ピクッ。ピクッ!ピクッ!!」と動くのだ。カワイイ。可愛いすぎるーっ!
私はものすごい勢いで海面へ浮上した。

「ブハッ!だ、誰か、おーいっ、誰かっ」
もう、誰かに言いたくてたまらないっ。すると近くを泳いでいた小宮山さんが慌ててやって来た(どうやら、あー、あの人溺れてる!と思ったらしい)。
「だ、大丈夫ですか?ジタバタして」
「あ、あの、サンゴがピクピクッ!ってゆーんですっ。本当です」
「ああ、もしかしてショウガサンゴに似てるヤツですよね?そうなんですよ、ここのサンゴ、ピクピク動くんですよー!」
「でもサンゴって、動いたりするんですか?」
「……ンー、本来なら、有り得ないコトなんですけど…ね……」船に戻ってみんなに報告すると、大笑いされてしまった。
船長も「サンゴが自分で動くなんて、ありえないさー。潮の流れで揺れて見えるだけさー?」とこの説を笑う。
「だって、2、3本だけ動くんだよ?潮の流れだったら、全員で動くハズでしょお?」
「わははー!もう、“全員”とか言ってる時点で、沖縄病さー。人じゃないっつーの、サンゴは」
…うぬーっ。でも、ま、いっか。こんな素敵な病気なら大歓迎だ。いつまでも、うなされていたい。いつまでもさめたくない。
サンゴも、踊っている。私も海に向かって、カチャーシーを踊った。

 
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  (2001.07.17掲載)



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