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西表島温泉でひとっ風呂浴びて、貸別荘でマッタリとしていたら、西の空がだんだんと紅くなってきた。
「ビールでも飲みますか?」案内してくれた山田さんが声をかけてくれる。
「わぁ〜いいですねぇ。もうすぐ夕焼けの時間なんだぁ。……ん?夕、焼け?ゆうやけって……あ、あっ、ああぁーっ!!わ、忘れてた、夕焼けっ!」
そうなのだ。本来、「星砂の浜でロマンチックに夕日を眺めたい!」という希望をかなえるためにレンタカーを借りて走っていたのに、途中で「日本最南端の温泉」という看板が目に入ってきて…こうしてビールを片手に開けようとしているのは、なぜ???
「すいません、もう行きます!お世話になりましたっ」慌ててレンタカーに戻る。キャー、間に合うかしら?見たい。夕日は絶対見たい。遊びでも仕事でもどこか遠くに出かける時は、何か1つ“自分だけの旅のこだわり”というのを持ってみると、旅がさらに楽しくなるように思う。中身は、何でもイイのだ。“その土地の地酒を必ず10種類飲んで帰る”とか、“旅先の郵便局で\100ずつ自分の口座に振り込み、貯金通帳に押された各地のハンコを集める”とか。
私の場合は、“旅先から自分宛てに絵はがきを出す”こと(その土地で見たもの、触れたこと、感じたことを、ハガキに書きとめて自分に送ると、日記のようで後から読み返しても結構たのしい)と、“夕日”だ。世界中の夕日を、この瞳で見てみたい―――ゆえに、私は旅に出ると必ず夕日フェチになる。夕方になるとソワソワして、海とか展望台のてっぺんとか見晴らしのいいところに行こうと試みる。
「安田さん、夕焼けのことになると真剣なんですね」
そうさ。女の子はみんなロマンチストなのだっ。どうしてだか、水平線に沈む夕日に弱いのだ。
「じゃあ、ちょっとだけ飛ばしましょう」
小浜さんはそう言ってアクセルを踏み込んだ。目指すは「星砂の浜」。ここはなんと、海の中の砂も浜辺の砂も全部星の砂でできている。おおっ、夕日を見るなら絶対ココ!と、私は心に決めていた。「星砂の浜」は、船浦港から北西へいった住吉という地区にある。駐車場に車をとめ、浜への階段を下りてゆく。
ドキドキ、ドキドキ。全てが星の砂でできている砂浜で夕日だよ、きっと綺麗だろうなぁ、うひゃー、興奮するっ!
…と思いきや、曇って何にも見えなかった(。。)
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