美ら島物語
けいさい予定 サイトマップ
美ら島検索
南の島の星まつり -a story of my boyhood- 2003
T.南の島の星物語 -開幕-
20年前、僕が中学2年生だったころ、石垣島で暮らす父の友人宅で夏休みの数日間を過ごした。
そのときお世話になったのが、島で暮らすやいまさんだ。
やいまさんは少なからず僕の人生に影響を与えてくれた人。
僕を星好きの沖縄好きにさせてくれた大切な人だ。
会いたい。でも会えるだろうか、探せるだろうか。
しかし、やいまさんとは僕の父もかれこれ10数年ほど音信が途絶えていると聞いている。
星まつりに行けば会えるかもしれない。星まつりだからきっと会える。
そんな思いで島への旅は始まった。
石垣島


短い滑走路に相変わらずの急制動で飛行機は着陸する。これはあのころと同じだな。南の島に着いた実感がこの瞬間に溢れる。扉が開きタラップを降りるとぬるい風に包まれて、遠い夏の日の記憶が蘇ってきた。


玉取崎
20年前の夏の日、やいまさんは空港で僕を迎えて、そのまま島を一周してくれたな。そうだ、あの日と同じ道のりで辿ってみることにしよう。
市街地を抜けて名蔵湾を通り御神崎、川平湾、米原海岸、平久保、玉取崎と景勝地を巡り、白保を通って市街地へ戻る。時計回りで島を一周するコースだ。
初めての石垣島は、目に飛び込んでくるものすべてが新鮮だったな。開放感というものを全身で受け取った日だった。




今もきれいだ。でもあのころと比べると、本当は風景も少し変わっているのかもしれないな。そう思いながらも久しぶりの風景に素朴な懐かしさを覚えた。


島を一周しながら車の中でやいまさんは語ってくれた。
星が大好きで、カメラと三脚を手に夜な夜な島を駆け巡り、写真を撮っていると。そのころ僕は、さほど星に興味は無かったが、熱く語るその姿に、なんとなく魅力を感じた。


石垣島に着いた日も、晩御飯を終えると御神崎へと向かった。
懐中電灯を消すと闇の世界が広がる。でもしばらくすると、地表が照らしだされてきた。
星明りさ、星空って明るいんだよ。とやいまさんはごく当然のように語った。
芝生に腰をおろすと、三脚にカメラをセットした。シャッタースピードをバルブにして撮影をはじめる。仕上がる写真はきっと北を中心に円弧を描くやつだ。
レリーズでシャッターを押し、露光をはじめた。
聞こえてくるのは波の音とムシの声。静かな静かな時が流れる。
シャッターを閉じるまで何もすることはない
寝転がって降り注ぎそうなくらいの星を眺めていたら、やいまさんが話し始めた。


タクミ君、『てぃんさぐぬ花』って唄、知っているよね? 素敵な唄さーな。
あの歌詞に北極星が出てくるんだ、「にぬふぁぶし」ってやつだ。
三線があるといいけどな、と言ったあと、静かに唄い始めた。


ゆるはらすふにや にぬふぁぶしみあてぃ
わんなちぇーるうやや わんどぅみあてぃ


訳するとね、
ゆるはらすふにや にぬふぁぶしみあてぃ
(夜走る船は北極星を頼りにし)
わんなちぇーるうやや わんどぅみあてぃ
(私を生んだ親は私の成長を心の支えにしている)
御神崎

という意味なんだよ。
ほら、あれがにぬふぁぶし、北極星だ。と指差した先にはしっかりと存在感のある星が瞬いていた。
へえー、北極星が明るい!
それまでは、那覇でしか星を見たことがなかった僕、北極星は知っていたけれど、そんなに明るく見えなかったし、本当にあの星が目印になるのであろうかと、少し疑問にすら思っていた。でも、石垣島に来て北の空を見ると、じーっと動かず明るく輝いている。
うん、これは確かに目印だ。納得!
  TOPへ次へ  




美ら島物語美ら島情報石垣島南の島の星まつり 2003
この記事に関するご意見・ご感想をこちらまでお寄せ下さい。