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南の島の星まつり -a story of my boyhood- 2003
T.南の島の星物語 -開幕-
あの星はな、夜の闇の中、船を操る人にとっては北の方角を知らせる目印であるとともに、心の支えでもあったんだよね。そしてね、親にとって子供の成長は何よりも喜ばしいもの、一番の心の支えなんだよね。
てぃんさぐぬ花の歌詞は親の思いを北極星に喩えた教訓歌なんだよ。


そうか、なにげに学校で歌ったり聞いたりしていたけれど、そんな意味がこめられているんだ。初めて知った唄の意味。じーんと心の中を伝った。
満天の星空が祝福してくれているようだった。


次の日は、南の星空を見に行った。
「タクミ君、8月になるともう無理だけど7月の上旬までは、日の入り後に南十字星が見えるんだよ。」
へ? そうなんだ。ずっと南でしか見れないと思っていた南十字星が、沖縄で見えるんだ。
「でもね、君がいる沖縄本島でも年に何度か、ちゃんと見えてる日があるんだよ。」
そうだったんだ、沖縄ってすごいな。
漠然とだけど沖縄ってとてもいいところかもしれない。ふと思った瞬間だった。


やいまさんがさそり座を指差した。
「あのしっぽのところからカシオペア座のところまで雲のような帯が通っているだろう? あれが天の川なんだ。さそり座の尻尾と、いて座の間あたりの白っぽいところ、あそこが銀河の中心なんだってさ。」


やいまさんのおかげで、僕はいつしか星の虜になっていた。


タクミくん、星って素敵だと思わないかい?
例えばね、君が見ている星は、地球上で必ず誰かが見ているんだよね。
そう思うと、一人じゃないんだ!って勇気が湧いてきたりしないかい?
さらにやいまさんは語った。
君にもいつか恋人と呼べる人が現れるだろうね。一緒に居ることが嬉しくて楽しい人だ。でも、その大切な人と会えないとき、二人で同じ星を同じ時間に見る約束をしたら、離れていても二人で時を過ごすことができるんだよね。な、星って素敵だろ?
夜の街


ごつい顔のおじさんがそんなロマンチックなことを言うものだから一瞬吹きだしたけど、きっと若かりし頃、やいまさんは恋人とそうやって過ごした日があったのだろうな。


星の話ややいまさんの若い頃の話を聞いているうちに、時間が経ち、東の空からはすでにオリオン座が上ってきていた。おっと、もうすぐ空が白み始めるぞ! やいまさんはちょっとびっくりしながら語った。
僕、明日も仕事だったんだ。さあ帰ろうか。


そんな日々を送り、石垣から戻った僕は、星の写真が撮りたくてカメラを買う計画を立てた、朝刊の新聞配達を始め、1年間貯めたお金で一眼レフを買った。
そういえば高校に合格したら、夏休みには石垣島へ行き、やいまさんと二人で星を撮りに行く約束をしていたのだった。
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