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小浜島の旧盆祭り 何かが道をやってくる
旧盆とニムチャー


TVドラマ「ちゅらさん」でお馴染みの小浜島が、笛の島でもある事をご存知だろうか? 笛作りに適した竹が多く取れる事から、島には「笛の名手」と呼ばれる人が数多くおり、また八重山民謡の笛の師範の多くが小浜島出身であるという事を、ご存知だろうか?


一聴すると、小浜島の笛はどこか頼りなげな、心もとないような音がする。いや、そう言ってしまったら、多分、正しくない。普段、都会に溢れる大味な音に慣れてしまっているからその様に聞こえるだけで、よくよく耳を澄ますと、夜の海の波の音、葉陰で揺れる虫の声。自然の中にあるそれらの音達に似た、繊細な力強さが底に流れているのがわかる。


小浜島の旧盆では、笛が祭りの重要な役目を担う。笛、三線、梵鐘、太鼓から成る「ニムチャー」と呼ばれる楽団の先頭を、肩で風を切りながら、笛を吹いて歩く青年達は本当に格好良く、島の少年達の憧れの的である。また、「ニムチャー」とは「念仏(ニンブチャー)を読む人」という意味。小浜島には北と南、二つの村があり、それぞれの村にニムチャーがおり、彼らは旧盆の3日間、楽を鳴らしながら、夜を徹して村中の家を回るのである(ちなみに今年は北村だけで46軒の家を回ったそうだ)。


着物姿の少年たち 小浜島に着いてすぐ、北村のニムチャーの練習を見学させていただいた。練習場所のお宅では着物姿の少年達が筵の上に座り、笛を吹いていた。彼らを指導していたのは、以前「島人」インタビューにも登場していただいた、南島詩人の平田大一さん。小浜島出身の平田さんは、現在、北村の笛の責任者をつとめている。


ウン ウン ウン と、笛を吹きながら、首で拍子を取る。時折、片手で少年の肩を叩きながら、体に調子を覚えこませる。横笛には楽譜がないから、耳で聞いて実際に自分で吹いて覚えるしかない。平田さんの指導を受ける彼らの顔も、真剣そのもの。音一つ聞き逃すまいとしている。また、彼らは祭りの終盤に花笠を被ってニムチャーを率いる、という大役も担っているから真剣なのも当然。練習にも自然に熱が入る。


「ニムチャーに入るのに、特に決まりはないんです。入りたい人が来て、先輩達が教える。そして、自分達が覚えた事を、また後輩達に伝えていくんです」(平田さん)
   
練習にも自然に熱が入る
   
入りたければ、一度も笛を持った事のない子でも受け入れる。そして、自分の芸を力いっぱい彼らに伝え、教えられた方も真剣に、先輩達の芸を盗んでいく。“あのニーニー(お兄さん)みたいになりたい”という憧れが原動力。とても自然な姿。「習い事」といえば、「教室に入って、先生について、教本通りに」が普通だった私には、何とも羨ましい光景だ。


島に行けば、何名もの人がごく普通に三線を弾き、歌い、踊る。祭りの場とは、彼らが芸を身につけていく場所でもあるのかもしれない。島人に芸を嗜む人が多いその理由を、垣間見せてもらったひと時だった。
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