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ただモンぢゃあない、にんにくそば

丸吉食堂は、お昼前だというのに、すでに込み合っていた。
「いらっしゃい。何にするかネー?」
食堂を切り盛りするおばぁ(砂川藤子さん)が、迎えてくれる。

「まずは基本に忠実に。安田、“宮古ソバ¥400”、いかせて頂きます」 待つこと、5分。熱々のそばが運ばれてきた。
「…あれ?具が、無い…」 ビックリ。ってゆーか、ガッカリ。上に何にも具がのっていないのだ。

するとおばぁが笑って「宮古そばの特徴はさ、そばの下に具が隠れているコトヨ。とにかく食べてごらんねー」と教えてくれる。上の麺をかき分けながら食べてゆくと、出てきた!赤肉、島かまぼこが中にゴロゴロと入っているではないか!

「なんで具が中に入ってるんですか?」と聞くと、
「さぁ〜、おばぁにもわからないヨー。昔からさー。島の誰も、わからないと思うヨ」
と笑う。つられて、私も笑う。なんて適当な答えなんだ。わからないと潔く答えるおばぁは、とっても素敵だ。
宮古そば

宮古そば
スープを1口飲んで、驚いた。“トンコツにんにく味”なのだ。「この臭い、まさか…?」とは思っていたが、こんなにニンニクのきいた沖縄そば、初めてである。カツオのほのかな香りと、豚のだし、プラスにんにく、である。東京の味に、限りなく近い。東京でにんにくコテコテのラーメンが好きな人は病みつきになるだろう。斬新な味だ。
「にんにく入れるのは、うちだけヨ。他の店と味を違えるために、何か無いかと思ってサ。スタミナつくヨー」
麺は、沖縄本島の麺より細く、まっすぐ。長崎ちゃんぽんの、もう少し細め、といえばいいだろうか。「つるつるつるっ!」美味しい〜。ちぢれ麺よりも、麺のプリプリ感がわかるので、私は超好みだ。

小浜さんの頼んだ“テビチソバ¥600”も、味見させてもらった。
テビチは骨が溶けて、プルプルとゼラチン状になっている。食べているこっちも、美味しくて溶ろけそうである。さらに“にんにく野菜炒め”がのっているのも珍しい。ニンジンやキャベツを炒めた、いたってシンプルなものだが、素朴な味でイケる。
それにしても、にんにくの味が濃い。最後の方になると、コッテリ味が得意でない私には、ちとキツかった。
美香

空港前
アイスキャンディー さぁ、アイスキャンディ食べなー
食後に、おばぁが自家製の黒糖キャンディを出してくれた。あっさり、甘すぎず、ハチミツと黒糖だけのやさしい味がした。
「昔はアイスキャンディ屋だったんだヨー、おばぁは。それからそば屋を始めて40年。いろんな事があったヨー。だけどよ、どんなつらい事があっても、黒糖キャンディ食べれば元気いっぱいさー、これがおばぁの健康法さ。あはは」
宮古の文化は“乾きの文化”といわれる。山がないために、昔から水不足に悩まされてきたのだ。そんな“渇きとの戦い”の中から生まれた、宮古人の特徴だといわれる“アララガマの精神(何くそッっという苦難にひるまぬ精神)”を、この明るく笑うおばぁの中に見たような気がする。
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