すると、おばぁが笑いながら
「こっちは血まみれにならないから、おいで、おいで」
と言う。案内されたのは燻製小屋。
「カツオ節作りは、焦ったらだめサァ。中までじっくり火を通してやらねば。さっきの切り身を釜で煮て、骨抜きして、こうして燻すわけサ。1日燻すとナマリ節になる。毎日ひっくり返して、そのまま2週間燻し続けると、固いカツオ節の出来上がりヨ」
薪の香りが立ち込めている。かなりの広さがある(私が住んでいる東京のワンルーム・マンションより、はるかに広い…)。そこに、先ほどおろした状態のカツオ君たちが、ズラーッと並んで燻されている。…カツオも、これだけの量が並ぶと壮観だ。黒光りした壁が、伝統の重みを感じさせる。ひっそりと、ゆっくりと、時間をかけて燻されてゆくカツオたち。なんだか、キレイだった。小屋の中には、厳かな、高貴な空気があった。
「はぁ………」
その神々しさにため息をついた。
ここには、神様がいる。 |
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