美ら島物語
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マグロパーティ
マグロ
こうして陽も傾き、マグロパーティが始まった。

「乾杯〜!」
キンキンに冷えたオリオンビ−ルが、のどを通ってゆく。クーッツ。 そして、見て見て! ジャーン、これが30kgのマグロのお造り。こんなデカイの、見たことない!
「これは、ほんの一部分ヨ。全部は盛り付けきれなかったヨー。30kgなら、100人分は余裕で取れるサー」と料理長。

「いただきまーすっ」
モグモグ、モグ……う、美味い! もう、全然、新鮮さが違う。脂がのっていて、舌の上で踊るかのよう。

他にも、
胃のソテー
(クチュクチュとした噛みごたえが美味。伊勢エビのソースとにんにくの芽と炒めてある)、
皮の和え物
(ゼラチン質で、ムニュムニュとした噛みごたえ。お酢でしめてあり、ちょっぴり焦げ目がついているのが美味い!)、
白子のソテー
(とにかく新鮮、プルンプルン。噛むと中からマッタリ、トローっと
身が口の中に広がる)ど、マグロの隅々まで私たちは食べ尽くした。

中でも美味しかったのは、
味噌汁に入っていた 白目
(こっちは悦さんが釣り上げたマグロだったので、多少気楽に食べられた)。これで少しは頭が良くなることを祈りながら、ツルツルッと、ゼリー状の白目をすする。ドゥルン、ドゥルンとしている。めったにに食べられない代物を口に出来て、もうご満悦。

マグロ
マグロ

「いやー、それにしても、あんた女だてらに、よく釣り上げたヨー、さあ、飲みな」
砂川船長が、泡盛を注いでくれる。
宮古島名物、“おとーり”の始まりだ。
“おとーり”とは、宮古島独特のスピーチ付きイッキ&まわし飲み会のこと。

噂には聞いていたが、ついに洗礼を受ける日が来てしまった…。
飲み方がわからず、モジモジしていると、
マグロ
「あんた、おとーり、初体験? そーかそーか、教えてあげヨ。

“同じ貴重な酒を、皆で飲もう!”というのが主旨。まず、おとーりの開催を言い出した“親”が、簡単にスピーチをして、酒を飲み干す。そして同じグラスに注いだ酒を、参加者全員に1杯ずつ飲ませる。飲む前には、必ずスピーチをしてから飲むのが決まりサー。全員が飲み終えると、親はもう1度酒を飲み、隣の人に親を譲る。全員が親を務め終わると、もう1周、また1周と回るのヨー。酒飲みには最高のシステム!」
「さ、何か口上を述べて!」
「え、えーと、今日はお疲れさまでした。マグロが釣れて、うれしかったです。で、では…」
クイッと、飲み干したいところだが、お酒に弱い私は、チビチビとしか飲めない。…でも、みんなが見つめている。えーい、ここで泣き寝入りしては女がすたる!
マグロ
「おぉ〜!」
そして、次の人、次の人へとグラスが渡る。なんと宮古ではおとーりがスムーズに進むよう、各グラスで1杯ずつ水割りを作らず、事前に専用のピッチャーでまとめて作っておく習慣があるのだ。グラスをテーブルに置けないよう、底の尖った“おとーりグラス”まであるという。


こうして、私は記憶を失った。もうここからは、まったく覚えがない。 後日できあがった写真によると、私はベロンベロンだったようだ。

1番迷惑だったのは、マグロ君だったらしい。
「えぇ〜い、あんたも飲みなしゃいっ!」と言って、マグロにビールを飲ませたり、「共食いじゃぁ〜!」と言って、マグロにマグロの刺身を食わせたりと、マグロ君にからみまくっていたようだ。だって、自分で釣り上げたんだもん、カワイくて仕方なかったのだ(言い訳)。
マグロ&ビール
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