さとうきび畑を抜け、集落に入ったパーントゥを距離をとりながら追いかけるも、いきなり方向転換したり、走り出したりするパーントゥに捕まえられ泥をつけられる人が増えていきます。
少し離れて見ていると
足をかけられて転ばされ、その上から覆いかぶさって泥をつけられる人。
挟み撃ちにされ、両側からべったり塗られる人。
極めつけは
子どもを抱きながら、顔にこれでもか!と泥を塗りこまれるお母さん。
よく見ると逃げられないようにパーントゥに足を踏まれて固定されていたの
です。
手には子ども、足はパーントゥ。
これぞ手も足も出ない状態というのでしょうね。
お母さんは非常に可哀相なことになっておりました。
パーントゥのすることは神様とは思えないぐらい奇想天外なことばかり。
見ているだけなら笑ってしまうのですが、襲ってくるとなれば、子どものような無邪気さが恐ろしい・・・。
いつの間にかパーントゥを取り巻いて移動している人の半分以上が真っ暗。
あたりも暗くなってきたので、パーントゥか島民か見分けがつかなくなり怖さ
倍増です!
パーントゥは昔から続く祭り。
街灯のある現代とは違い、月明かりだけに照らされていた頃は人々はどんな風にパーントゥと出会っていたのでしょう。
さて、ついに私も。
薄い頭のおじさんに泥を塗っているのを見て、「ワッ!髪が生えた!」と笑っていたのも束の間。
ふと顔をあげると、間近にパーントゥ。
「キャーー!」
あわてて逃げたものの、目の前には壁が!
(あわわあわわ)
(あ、あまりに酷いのはご勘弁をー!)
という心の悲鳴はお構いなしに、
大きな手で2度3度、顔にベタッと泥を付けて
パーントゥは満足したかのようにすっと離れていきました。
こ、怖かったー!
でも泥をつけられた後はなんだか笑いがこみ上げてくるのです。
「あははは!怖かったー。でも楽しい!」
さらには同じような顔の人と目が合うと、泥だらけの顔をお互いに見て
「汚いー!臭いー!あははは!」と笑い合う。
そして笑っていたら、また
「ほら、来たぞー!」「キャー!」
3体のパーントゥを相手に子どもも大人も関係なく、懸命に走り、時にころび、無邪気に笑う。
こんなに叫んで笑ったら、悪いものも飛んでいくはずです。
大興奮の鬼ごっこは日が暮れる夜8時頃まで続きます。
さて最後に、パーントゥを初めて経験してみて、私が絶対必要だと感じたもの。
それは
「ゴミ袋」
ゴミを拾うためではありません。
帰り道、自分がゴミ袋に包まって車を汚さないようにするためです。
体は真っ黒になったけれど、心は見事なほどに晴ればれ。
パーントゥは泥をつけて厄を落とし、笑いを運んでくれるちょっと変わった神様でした。
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