ベランダから外を眺めると、海に夕陽の色が溶け始めていた。
そうだ、お散歩に行こう。
早くしなくちゃ陽が沈んじゃう。
息子をベビーカーに乗せてプライベートビーチへと繰り出した。
『か、かあちゃん、これ何だろ〜!』
白砂の上に息子を降ろすと、
座ったままサラサラの砂を触り始めた。
白くなった指先を注意深く眺め、舐めて、眉をしかめる。
ああ、口の周りが砂だらけ。
息子はゆっくりと立ち上がり、慎重に一歩を踏み出した。
砂に足をとられて前に倒れ、立ち上がって、また倒れて。
『かあちゃん、変な感触だよ〜!』
両手でバランスをとりながら慎重に前進し始めた。
ヨチ、ヨチ、ヨチ。
まんまるのお尻、ガッチリとした背中、意思を持って動く足。
1年ちょっと前までお腹の中にいたなんて信じられない。
もうずっとこの世界にいるような、堂々とした存在感だよ。
夕陽を眺めながら遊歩道をのんびりお散歩、
ふたりの影がどんどん長くなってゆく。
部屋に戻りシャワーを浴びると、
大きなアクビをして眠りについてしまった息子。
乾ききらない髪に顔を寄せると、太陽と潮の香りが残っていた。
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