ナビゲーション

地図から探す

島名から探す

検索

編集部挑戦 琉球在来種・幻の黒豚 あぐーを食べる!
琉球版・プロジェクトX(?) 幻の黒豚・あぐー、絶滅と復活の軌跡
文 森山卓 写真 美ら島編集部
琉球在来黒豚=琉球島豚(アグー)
琉球在来黒豚アグーの原種は、1385年(1392年説もある)に琉球に渡ってきたとされている。
当時家畜は、航海の際のライフストック(食料)として船に積まれていたため、それが琉球に持ち込まれたのではないかと伝えられている。
また近年、伊江島にある弥生後期の貝塚、具志原貝塚で豚の骨が発見されたが、これは14世紀以前から沖縄では豚が飼育されていたことを物語っており、沖縄の豚とのかかわりは2000年近いことになる。しかしどちらが琉球在来黒豚アグーとして現代まで残っているのかはわかっていない。

いずれにしても、はるか昔から豚を食していたのは間違いないのだが、琉球王朝時代、首里王府から、「牛馬は食べてはならぬ」とおふれが出たため、それ以来豚を食べる習慣が定着していったようだ。

ところで在来の豚が、なぜアグーと呼ばれているか。
これも、文献が残っていないため定かではないが、粟国島由来説というものがある。
宮古馬、与那国馬など、産地の島の名前を付けていたものが多いため、アグーも粟国(あぐに)島と何らかの関わりがあるのかもしれないと言われている。

航海のスライフストックとしてやって来たアグー
琉球王朝時代のおふれから、定着していった
戦世の果てに
琉球王朝時代から戦前まで、当たり前のように飼育され、食されていたアグーだが、戦争と豚コレラのせいで、その数が激減した。
戦後、物資食料の乏しくなった沖縄を救おうと、ハワイの沖縄県人会が350匹の白豚を沖縄に送ってくれた。肉をたくさん食べる国からきた白豚だ。品種改良が進んでいる。赤肉の多さ、出産数の多さ、発育の早さなどでアグーに勝っていたため、養豚農家は喜んで白豚を飼育し始めた。
その結果、沖縄の食糧事情も豊かになっていった。

しかし…、いつの間にか在来種アグーは養豚農家の豚舎から姿を消していったのだった。

白豚の存在に、アグーは姿を消すこととなった
復活への道
調査当時のアグーは、わずか18頭
研究に参加したのは北部農林高校の先生
名護博物館が在来家畜の展示飼育を手掛けることになり、当時の館長島袋正敏さんが、在来豚アグーはどうなっているかと調べてみたところ、なんと全県に18頭しか残っていないことを知った。
養豚農家が趣味で飼っていたり、親戚で食べるためのものとして、飼育していたものだ。
これは大変なことになっている! 沖縄の宝、沖縄の恵みを絶やしてはならないと、あちらこちらに声をかけ、在来種に近いものから数頭を集めることになった。
養豚業者にもアグーの復活を手伝ってくれと打診したが、ことごとく断られた。
儲からん豚はいらんと。
確かに、生育速度が遅く、脂身が多いアグーは豚肉商品としての価値が低く、また生育日数が長い分、えさ代も膨らむ。そのため養豚農家は見向きもしなかったのだ。
そんな中、手を上げたのが北部農林高校の一人の先生だった。
しかし、当時は牛の研究のほうに力を注いでいたため、周りの先生や生徒は顔色を曇らせた。
「何で豚?」といったかどうかはわからないが、みんな内心はそう思っていたようだ。

しかし、島豚アグーについていろいろと調べてみると、驚きの分析結果が出た。
コレステロールが外来種の1/4・ビタミンB1(アミノ酸)が豊富・うま味成分のグルタミン酸が多く含まれている ・柔らかくておいしい・肉の色沢が良い・臭みがなく、あくが出ない・油が香ばしいなどなど。
しかも、アグーは病気に強く粗食にも耐える豚。
これぞ長寿の源かもしれない。

はじめは乗り気でなかった生徒たちも、アグーのすばらしさを知り、先生と一丸となってアグーの復活への道を歩み始めた。

さて、北部農林高校にアグーが集まった。残っていたアグーは、ほとんどが親子や兄弟、親戚と、血が近いもの同士で、そのため近交退化(近親交配退化)が起こった。発情をしないものや発情ばかりしているもの、多指などの奇形も生まれた。出産数が少ないものもいる。病気にも弱い。奇形個体は繁殖交配させてはいけないので、泣く泣く潰した。
どうもうまくいかない、このままでは絶えてしまう。
時を同じく畜産試験場でもアグーの研究を重ねていた。
数が少なすぎて、原種のみでの交配は無理だと判断。いろいろと悩んだ末に他の種の豚を交配に使い、血を薄くして、再びアグー原種とかけ合わせていく戻し交配が行われた。
年月のかかる作業だ。しかしあきらめなかった。何度も何度も繰り返した結果、1995年、在来豚アグーに限りなく近い黒い豚が蘇ったのだ。

長寿食としての期待がかかる
忍耐強い研究の末、在来豚アグーは復活した

島の宝、琉球在来豚 アグー
アグーの保存会により、未来への希望も見え始めている
島豚アグーを味わってみませんか?
初めてアグー復活に取り組んだ生徒たちの意志を受け継いだ今の生徒たちも、沖縄の宝を世に送り出すための大きなプロジェクトに携わっているという意識をもって頑張っている。

しかし、すばらしい沖縄の宝、島の恵み、アグーが蘇ったにもかかわらず、その後も畜産農家はアグーの飼育にまだまだ消極的のようだ。やはり、現代の養豚では、コストと利益が合わないのだ。
白豚をセリに出すと3万円の値がつくときに、アグーは8千円にしかならない。
いい豚だというのはわかったけれど、豚肉の品質評価と価格は赤肉の比率で決まる。
脂身が多いアグーは、売っても儲からないと逃げ腰だった。
しばらくは、研究者同士での意見交換の域を越えない時代が続いたが、2000年に県立北部農林高校や、今帰仁村内にある沖縄県畜産試験場などの専門機関の連携により「琉球在来豚アグー保存会」が発足し、在来種保存に向けての機運が高まった。
アグーは、白豚の基準で勝負せずに、沖縄の在来豚アグーとしてのブランドを確立し、肉の栄養価を表に出して勝負すれば、高値で売ることも十分に可能であろうなどと、前向きな意見も出始めている。

近年、長寿県沖縄の研究も盛んになり、数多くの食材が見直されてきている。アグーについても栄養価が高く、またバランスが取れた肉として、注目を浴びてきている。
ようやく復活し、これからさらに商品化の研究開発が進んでいくアグー。
本土のみなさまの食卓に、日々登場するほど大量に出荷できてはいないが、近所のスーパーにアグーの肉が並ぶその日までは、沖縄を訪れた際にぜひ食してみてください。

トップへ戻る 試食レポートへ
(2004.04.28掲載)




美ら島物語美ら島情報沖縄本島琉球在来種・幻の黒豚 あぐーを食べる!

topへ戻る

当サイトは、日本トランスオーシャン航空(株)がお届けしています。
Copyright © 2001-2017 Japan Transocean Air. All rights reserved.

沖縄広域MAP

沖縄詳細MAPへ

閉じる

沖縄詳細MAP

  • 伊平屋島
  • 伊是名島
  • 伊江島
  • 粟国島
  • 久米島
  • 渡名喜島
  • 沖縄本島
  • 慶良間諸島
  • 北大東島
  • 南大東島
  • 石垣島
  • 小浜島
  • 鳩間島
  • 与那国島
  • 竹富島
  • 新城島
  • 黒島
  • 西表島
  • 波照間島
  • 伊良部島・下地島
  • 宮古島
  • 多良間島

沖縄広域MAPへ

閉じる

  • 粟国島
  • 新城島
  • 伊江島
  • 石垣島
  • 伊是名島
  • 伊平屋島
  • 伊良部島・下地島
  • 西表島
  • 沖縄本島
  • 小浜島
  • 北大東島
  • 慶良間諸島
  • 久米島
  • 黒島
  • 竹富島
  • 多良間島
  • 渡名喜島
  • 波照間島
  • 鳩間島
  • 南大東島
  • 宮古島
  • 与那国島
  • 奄美大島
  • 与論島

閉じる