・平田大一さん
(演出、脚本)
・松永太郎さん
(音楽監督)
・比屋根秀斗くん
(高2・阿麻和利役)
・知念みなみさん
(高3・ダンス)
・安里綾乃さん
(OG・演出)
沖縄本島中部の小さな町・勝連。そこに住む中高生を中心に演じられる舞台、『組踊 肝高の阿麻和利』が、今、沖縄でブームを巻き起こしています。県内で行われる公演は全て満席、立ち見が続出。2003年夏には関東5ヶ所公演も即日ソールドアウトの大成功をおさめました。美ら島編集部員も何度も足を運んだ『阿麻和利』。「現代版 組踊」と称される『阿麻和利』の面白さの秘密を、演出家の平田大一さんと音楽監督の松永太郎さん、そして舞台を支える子供たちにインタビューしました。
『組踊 肝高の阿麻和利』
あらすじ…真夜中の勝連城跡。学校内で噂になっている、年に一度の「幻の村祭り」の真偽を確かめるために、こっそりと城跡に忍び込んだ、きむたかの子達。雷鳴の中、現れた「長者の大主(ちょうじゃのうふしゅ)」から渡された巻物には「阿麻和利の乱」の真実が書き記されており、きむたかの子達はやがてその内容を読み解く内に、歴史の闇に閉ざされた民草の王としての、真の阿麻和利の姿に近づいてゆく。
舞台は1456年当時の勝連にさかのぼる。海を渡りたどり着いた浜での、「加那(かなー、阿麻和利の童名)」と正義漢3人との出会い。「望月按司(もちづきあじ)」追放と10代目の城主「阿麻和利」の誕生。首里王府の黒い策略。「尚泰久王(しょうたいきゅうおう)」の娘「百十踏揚(ももとふみあがり)」との政略結婚。そして旅芸人の姿を装った「鶴松」「亀千代」の罠。
琉球統一の大きな時代のうねりの中で、台風の如き情熱で駆け抜けた風雲児「阿麻和利」の物語を、545年の時を超え、現代版組踊として地元与勝地域の中高生が見事に演じ切る。
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平田大一さん
(ひらただいいち/演出、脚本)・
松永太郎さん
(まつながたろう/音楽監督)
『肝高の阿麻和利(以下『阿麻和利』)』の脚本は、もともと組踊として作られた物なんですか?
平田(H)「いや。史劇だね。琉球史劇。うちなー芝居」
なぜ、お芝居だったものを「組踊」として再構成したんですか?
松永太郎さん
H「あぁ〜、どうしてだろう(笑)」
松永(M)「組踊の『二童敵討』では、阿麻和利は逆臣、逆賊として描かれているじゃないですか? この『阿麻和利』のプロジェクトを立ち上げたのは、勝連町の上江洲教育長という方なんですけど、教育長の思いというのが、組踊の中で逆臣、逆賊として描かれた自分達の町の英雄を組踊の中で名誉挽回させたい。阿麻和利をヒーローとして語り継いでいく事が、自分自身や地域を見直す事になるんじゃないかって、そういう思いがあったんです」
なるほど。
H「実行委員会は最初反対したんですよ。子供達に格式高い組踊をさせるのは無茶だ、と。でも教育長は、たとえ無茶でも、それ以上に、阿麻和利の名誉挽回をしたいっていう思いが強かった。だから、僕らはその思いに応えようと思ったんです。また、これは偶然なのかもしれないけれど、『阿麻和利』はバンド、役者、ダンスに分かれていますが、組踊でいえば地謡、唱え、踊りの3つに符号するんですよ」
その3つのパートで行こう、って決めたのは偶然なんですか?
H「(爆笑)まぁ、正直言えばね。でも、これは僕達の演出の仕方なんだけど、こっちの枠の中に中学生という微妙な年齢の子供達を入れた場合、どっかで無理が生じる。「やらされる演技」になってしまうだろうと思ったんで、まず、何やりたい?って聞いたら、ダンス、とかエイサーって言うから、じゃぁ、それを組み合わせて組踊みたいなね(笑)。本気でやりたい物に関しては、自分達で責任が取れるから。そこで構成をし直したんです」
では言ってしまえば、子供達がやりたかったものが、琉舞というよりはダンスだったし、地謡というよりはバンドだったっていう。
M「そうですね。最初は興味あるものをどんどん付け加えていって、でも、不思議とダンスをやっていた子達が、5年目にして改めて琉舞を勉強し始めたり、バンドの子が「かぎやで風」という曲の難しさや面白さに気づいたり、そういうのは発見でしたね」
自分達のやり方でやっていたら、自然に伝統とか本質に触れていったという感じですね。
H「そう。僕はこの『阿麻和利』っていうのは、入り口まで連れて行く作業でいいと思っているんです。この中に出てくる「京太郎(チョンダラー)」や「二童敵討」、三味線の音をもうちょっと見てみたい、聞いてみたいって子供たちが関心を持って見た場合、「二童敵討」は新鮮なものに映ると思うんですよ。だから、そこは大城先生と同じ気持ちなんだけれど、「古いものは新しいんだ」という感覚を持たせるための一つの導入というか、ツールとして『肝高の阿麻和利』はあって、それは、組踊を知るためだけじゃなくて、自分達が生まれた町を知る事にも繋がるんじゃないかと思うんです」
組踊への誘い−琉球芸能の古から未来−
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