「これで綱が取れるかもしれないな、と思った。体格はもちろんだが、目が良かった。本当に強い牛は、優しい穏やかな目をしているんだ」
なんと深みのある言葉。そういえば、孫全さんも一見恐いが、よく見ると、ウーマク(やんちゃ)坊主がそのまま大人になったみたいな、なんともチャーミングなお顔をしている。聞けば、八重山酋長の「酋長」は喧嘩が強く、ウーマク中のウーマクだったかつての孫全さんのあだ名から取ったそうだ。
心優しきウーマク同士、気が合ったのか、酋長は孫全さんのもとでメキメキと頭角を表していく。そして、デビュー後6年で横綱。自分の牛、しかも八重山産まれの牛が闘牛のメッカ、沖縄本島で綱を取る。これが、孫全さんの40年の闘牛人生中、最大の夢でもあり、また闘牛及び畜産に関わる全てのエーマンチュ(八重山の人)の夢でもあった。 |
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優しげな酋長の横顔 |