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「いたーっ!」
何時間が経っただろうか。突然、スタッフの1人が大声で叫んだ。その途端、停滞していた船内のムードが活気づきはじめた。「どこ?」「どこ?」皆、こぞって船首の方へ駆け出していく。
「ほら、あそこ!」まっすぐ伸ばした指の先を見ると、いる! 確かにいる! 波の間から、ヌルリと黒光りする背をのぞかせた巨大な生き物が二頭も! 「うひゃぁぁ」思わず、ため息とも感嘆ともつかない声をあげてしまう。
それだけ、大きいのだ。見たこともないくらい。今まで出会った全ての生き物の中で、一番大きい。それが目の前で確かに脈を打ち、生きている。潮を吹いたり、潜ったり、悠々と海を泳いでいる。何だか信じられない。でも、嘘でも夢でもない。静かな感動が体中に満ちてくる。自分より大きな存在に出会うと、素直に圧倒されてしまう。日々の瑣末な出来事なんて、どうでもいい事に思えてくる。
実際、ここ数日の私は、色んな事があって少々ブルーだったのだけれど、クジラを見ている間はブルーな気分を忘れていられた。ホェールウォッチングには、ヒーリング効果があるっていつかどこかで聞いた気がするけれど、それは本当の事かもしれないな。 |
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