美ら島物語
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沖縄・クジラに出会う春
なかなか会えないクジラ。一体、どこにいるの?
…と元気よく港を飛び出したものの、これがなかなか会えない。クジラは名所旧跡ではなく生き物だから、「ここに行けば必ず会える!」とはいかないのはわかっちゃいるけれど。
でも、もうかれこれ2時間は経っている。行けども行けども海ばかり…。少し先には久米島が見える。ちょっと待って、左にあるのはもしかして粟国島? ずいぶん遠くまで来ちゃったなぁ…。それにしても、海なんか、海なんか、いい加減、見飽きたぞ〜!
「もしかして、今日は会えないかも…」誰も口に出しては言わないけれど、船内に漂いはじめるあきらめムード。いかん、いかん。思った事は現実になるのだから。「絶対、会える!」そう信じて前に進まなきゃ。
クジラ、なかなか現れないな〜。
クジラ、なかなか現れないな〜。
姿を見せた二頭のクジラ
ちょこん、と飛び出た尻尾がかわいい。
ついに姿をあらわしたザトウクジラ
「いたーっ!」
何時間が経っただろうか。突然、スタッフの1人が大声で叫んだ。その途端、停滞していた船内のムードが活気づきはじめた。「どこ?」「どこ?」皆、こぞって船首の方へ駆け出していく。
「ほら、あそこ!」まっすぐ伸ばした指の先を見ると、いる! 確かにいる! 波の間から、ヌルリと黒光りする背をのぞかせた巨大な生き物が二頭も! 「うひゃぁぁ」思わず、ため息とも感嘆ともつかない声をあげてしまう。
それだけ、大きいのだ。見たこともないくらい。今まで出会った全ての生き物の中で、一番大きい。それが目の前で確かに脈を打ち、生きている。潮を吹いたり、潜ったり、悠々と海を泳いでいる。何だか信じられない。でも、嘘でも夢でもない。静かな感動が体中に満ちてくる。自分より大きな存在に出会うと、素直に圧倒されてしまう。日々の瑣末な出来事なんて、どうでもいい事に思えてくる。
実際、ここ数日の私は、色んな事があって少々ブルーだったのだけれど、クジラを見ている間はブルーな気分を忘れていられた。ホェールウォッチングには、ヒーリング効果があるっていつかどこかで聞いた気がするけれど、それは本当の事かもしれないな。
ありがとう、また会おうね
潮吹き、フルークアップダイブ、ブリーチ…。長い時間待った私達にサービスしてくれるかの様に、二頭のクジラは次々と大技を見せてくれた。その度に歓声を上げる私達。写真を撮るのも忘れ、クジラの一挙手一動に拍手を贈る。
潮吹きの時に上がる水しぶきは、大きな噴水みたいだし、ブリーチはものすごい迫力。
「船の下にクジラがいる時は要注意ですよ〜。船をひっくり返されるかもしれないから」というスタッフの冗談も、あり得ない事じゃないと思う。だって、これだけの巨体が飛び上がるんだもの。その反動たるや、ちょっとした地震なみだ。
およそ30分の間、元気な姿を見せてくれたクジラ達は、やがて、静かに去っていった。少し名残おしいけれど、別れがあるから次の出会いがより楽しみになる。ここは笑って、去っていくクジラ達を見送ろう。
「さよなら。今日はありがとう。楽しかったよ。また会おうね!」



1月、クジラが帰る海。
沖縄の春は、もう、すぐそこ。
(2004年1月18日取材)
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今回お世話になった、船長のジョニー(左)とクジラ博士のナカちゃん。
今回お世話になった、船長のジョニー(左)とクジラ博士のナカちゃん。
私達をクジラに会わせてくれた船、「YOSEMIYA V」
私達をクジラに会わせてくれた船、「YOSEMIYA V」




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