美ら島物語
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北と南のラブストーリー
地図のない旅(前編)

入社三ヶ月め。
日々の仕事にも慣れてきて、闘牛(注2)を見に行ったり、会社の皆と夜、浜比嘉島(注3)にドライブに行ったりと、沖縄を楽しむ余裕も出てきた頃に再び、Q氏が囁いた。

「yurippe、岩手行きが決まったぞ。来週早々、岩手へ飛んでくれ」

“マジっすか?”

心の中で私は叫んだ。正直、三ヶ月前の久茂地の夜以来、岩手の事は頭から抜けていた。

「ほら、来年の1月に石垣島でマラソン大会があるだろ? その大会に岩手県から230名もの方が出場と応援でいらっしゃるんだ」
「230名、ですか? スゴイ……」
「それだけじゃないぞ。その時には、なんと、花巻空港から石垣空港まで我がJTA機をチャーターして来られるのだ」

ジャ、ジャーンッ!! と、Q氏の後ろでファンファーレが鳴った気がした。

「チャーター機とは、これまたスゴイですね」
「そう、だけど、これは単にスゴイってだけじゃなくて、岩手と石垣の友情の物語でもあるのだ」
「というと?」
「ほら、いつか話したろ。岩手と石垣の間にはいい話がある、って」
「あ〜、そういえば。でも、あの時はQさん、酔っ払っていたから全部は聞いていませんよ」
「あれ、そうだったっけか。まぁ、いいや。当日までにこれを読んで頭に入れといて」

そう言って、数枚の紙を渡された。取材日程表と『種籾が取り持つ 岩手県・沖縄かけはし交流経過』と書かれた書類。、これを読むと、ことのあらましがわかるらしい。

「取材クルーは君と私さとなおさん(注4)。そうそう、TVにも出演するかもしれないよ」
「テ、テレビ、ですか?」
「取材の様子を向こうのマスコミが取材にくるらしいんだ。君も画面のはしっこにチラッと映るかもしれないから、そのつもりで。くれぐれもそんな格好(注5)で現れないように」

青天の霹靂とはこういう事を言うのかもしれない。まさか自分の人生の中に、岩手のTVに出演、なんてことがあるとは夢にも思わなかった。

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