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北と南のラブストーリー
さとなおプロフィール
さとなお。東京生まれ。全国のレストランを自腹覆面で審査する「ジバラン」団長。おいしいコラム満載のさとなお個人サイトはこちら
著書:「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「さとなおの自腹で満足!」(コスモの本)、「うまひゃひゃ さぬきうどん」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)など。
石垣に降る雪。北と南をつなぐ泡盛を、その感動物語とともに楽しむ。

※「南雪」は販売終了いたしました。

沖縄を旅する人がたいてい悩むのは「いったいどの泡盛をおみやげに買えばよいのか?」ということであろう。

せっかく沖縄に来たんだもの、泡盛は買って帰りたい。日本酒や焼酎と違って泡盛は沖縄でしか造ってないことも購買意欲を刺激する。
このごろでは大和(沖縄以外の日本)でもちょっとした都市なら泡盛がずいぶん手に入るようになったし、泡盛を揃えた沖縄料理店も増えた。東京あたりには泡盛バーもいくつかある。でも、やっぱり現地沖縄で買う泡盛は違う気がする。沖縄でしか売ってない銘柄も多いしね。

で、いざ買おうとするとかなり悩む。
沖縄には全部で47も酒造所があり(酒造協同組合を入れると48)、それぞれ数種類ずつ出しているからその数は膨大な数にのぼる。こんだけ地元酒をたくさん持っている県は他にないだろう。国際通りの泡盛屋さんとか見ても、それこそゴマンと泡盛が並び、試飲させてもらっても慣れない舌にはどれも変わらないように思える。 あ〜いったいどれを買って帰るのが正解なのだ !?

ウチナンチュ(沖縄人)に聞いても埒が明かない。ほとんどの人が「んー、まぁいろいろあるけど、どれでもうまいさー」とか言いよるのだ。
そこを敢えてとお願いすると自分が普段飲んでいる安い銘柄を教えてくれる。泡盛ってみんな同じ味なのか? そう不思議に思うくらい頓着がない。まぁだからこそこんな小さな県で47もの酒造所がやっていけるのだろうが、旅人の悩みは全然解決しない。

沖縄リピーターとしてかなり年季が入ってきたボクではあるが、その悩みは変わらない。
そりゃぁこれだけ長年飲んでくると自分の好きなタイプの泡盛も決まってくるし、どれがどううまいかもだんだんわかってくる。「瑞泉」や「玉友」や「忠孝」などの一般酒が好きだった時期もあれば、とにかく古い古酒(クース)が一番と思ってた時期、「海乃邦」や「泡波」などの高級物・レア物をありがたがっている時期もあった。「白百合」や「千代泉」みたいな個性が強い酒ばかり探している時期もあったし、旅をした離島で作っている泡盛をその島の静かな美しさを思い出しながら飲むのが好きな時期も長かった。

そして、気が付いたときにはボクもこう言っていた。


「んー、まぁいろいろあるけど、どれでもうまいさー」


…‥おっさんおっさん、それではこの原稿は続かない。泡盛は全部同じようにうまいです、なんて原稿書いたって誰も喜ばない。いったいどの泡盛をおみやげに買えばいいのか、何か旅人の判断材料になるものはないのだろうか。


とか思っていたとき、石垣島の「南雪」という泡盛の感動的な話を聞いたのである。

それ以来、ボクのおみやげ泡盛は「南雪」であることが多い。

お店や空港ではまず売っていない。沖縄の居酒屋でもほんの一部を除いてまず置いていない。だから石垣島に行ったときに酒造元まで直に買いに行かないといけないのだが、この泡盛の価値は「レア」ということではないのである。

 

さて、その感動的な物語をみなさんにお話しするためには、1993年の「岩手県」から話を始めないといけない。

石垣島の泡盛の話がなぜ遠き岩手県から始まるか、読んで下さればすぐわかる。


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