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…バサッ、バサッ。風がカーテンを大きく揺らしていた。外は青空にもくもくと雲が浮かんでいる。うぅ〜ん〜〜っ、朝9時。良い天気やー。干していた水着もからっと乾いている。…う。うへー、歩くとボワ〜ンとする。ちょっと宿酔…。よ〜さん、飲んだもんなぁ。今日は残念ながら、波照間を出なければいけない。最後に集落をまわって、ニシ浜へよることに決めた。
マンホールには南十字星が描かれている。郵便局に行くと、丸い南十字星の消印を押してくれる。交番も、日本地図の中の波照間がちょこんと赤く塗りつぶされている。最南端シリーズ。ふふふ、何気なく、可愛い。
けど、この島のおうちのほうがもっと素敵だ。みんなとても古くて、公園の椅子も、そこらへんのお家に植えてある木も静まり返っている。のびのびと、ゆっくりと年をとった感じが、オバァみたいだ。
「モンパの木」は、染物のワンピースやパレオ、アクセサリーがとても可愛いお店。こういうのが似合うようになれば、いっちょまえの島人かな?波照間の、明るい色の自然に似合うやろなぁ。この島で身につけるためにあるみたい。
ニシ浜へ来た。ビーチには、ほとんど誰もいなかった。ただ、ブルーが地球の向こうからやってくるだけだった。はぁー、やっぱり、いいなぁ。岩の上によじのぼると、海が「さあ!」と手招きしているように見える。大好きな人にそうするように、飛び込んでしまいたかった。でも、もう帰らなあかんから。…切なかった。
ゆっくり島をまわることで、一歩深く、新しい見方で楽しめたかもしれない。
波照間のふるーい集落やそのまんまの海、豊年祭、大家族のユンタク…、もしかしたら、昔は日本のどんな所にもあったものなのかもしれない。八重山には、ただ、今も普段の生活の中に、「普通のこと」として生きているだけなのかもしれない。私が惹かれているのは、それだ。
すべてがぴかぴかな都会は楽しいけれど、なあんにも自分の所には留まらない。想いの残るものがない。だから、次々に切っては捨て、新しくする。人間だって、どんどん、どんどん、通り過ぎていくような気がする。
私はそんな風になりたくない。想いを残せる人間でありたい。流れる海の色のように。足の裏にサクサクする、白い砂のように。
ああ、楽しかった〜〜。でも、まだ、まだ酔いたりない。ふっふっふ、これはあくまでイントロダクション。次はもっと、この島にどっぷり酔ってしまいたい。また絶対来るからね!
通り雨が降る波照間港に、石垣行きの船が来た。3泊4日の黒島・波照間は終わり。ここからは、一人で旅を続けるのだ。席に座ると、さっそく眠気がおそってくる。瞼が、とろんと落ちてきた。
待って、待って。寝てしまう前に、たくさんの事を思い出そう。豊年祭の三線。水色と黄色の着物。西の浜のアダンの木。島仲家のまさひろおじちゃん。そして、アイランダーから見えた青に、最南端の藍色の波に、酔っ払った青年団のみんなに、ニシ浜のエメラルドブルー…。
みんな、大好き!!島のすべてにカンパイ。これからも、私は島に酔いつづけたい。
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